社会保障審議会医療保険部会並びに医療部会が昨年12月8日に相次いで開催され、当日示された「令和6年度診療報酬改定の基本方針(案)」を了承した。
診療報酬改定に当たって、点数や要件など、その内容に関しては中医協で決定することになるが、改定に関する基本方針については社会保障審議会医療保険部会並びに医療部会で決定することになっており、両部会ではその取りまとめに向けて、精力的に議論が行われてきた。
今回了承された基本方針では、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応」「全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応」「医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現」「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」を行うことを、改定に当たっての基本認識として示している。
また、改定の基本的視点として、重点課題とされた「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」に加えて、「ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」「安心・安全で質の高い医療の推進」「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」を挙げるとともに、それぞれの視点ごとに、より具体的な方向性の例を明記している。
日本医師会からは、医療保険部会に猪口雄二副会長が、医療部会に角田徹副会長と城守国斗常任理事が、それぞれ委員として出席している。
これまでの医療保険部会の議論の中で、猪口副会長は「特に基本認識や重点課題を踏まえて、国民の安心できる医療提供を実現できる議論を、中医協で進めて欲しい」と要望。
一方、医療部会では角田副会長が現在、医療分野における人材流出等が起きていることを指摘するとともに、「今回の改定は、従来のように同じパイの中で調整するのではなく、パイそのものの拡大が必要である」と主張。また、将来を見据えた課題として、「国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行うこと」が取り上げられたことに関して、「説明だけでなく、しっかり理解を得てもらう必要がある」と強調した。
城守常任理事は、具体的方向性の例に記載されている「医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組」について、更なる拡充を求めた他、「タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」だけでなく、医療人材と賃金の確保が重要であると指摘した。
なお、基本方針の全文については厚生労働省のホームページをご参照願いたい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36801.html
改定の基本的視点
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