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令和6年(2024年)2月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

介護報酬改定に関する答申取りまとめを受けて

日本医師会定例記者会見 1月24・31日

介護報酬改定に関する答申取りまとめを受けて

介護報酬改定に関する答申取りまとめを受けて

 松本吉郎会長は、1月22日に開催された第239回社会保障審議会介護給付費分科会で、令和6年度介護報酬改定案の諮問及び答申が行われたことを受け、日本医師会の見解を述べた。
 松本会長はまず、令和6年度介護報酬改定率が、昨年12月20日の大臣折衝を踏まえて、プラス1・59%に決定したことに触れ、日本医師会として医療・介護関係団体と共に今回のトリプル改定に向けて、賃金上昇・物価高騰への対応を政府に対して主張するとともに、医療・介護分野の賃金上昇は他産業に大きく遅れをとっていることを指摘してきたことなどを説明。その上で、「今回の介護報酬改定率は令和6年春闘の先鞭(せんべん)となる賃上げの実現と物価高騰への対応の財源として、一定程度確保頂いた」とし、政府・与党始め多くの関係者に医療や介護の現場の実態が理解されたことに、改めて謝意を示した。
 また、松本会長は6年前のトリプル改定から今日まで、自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行などにより、介護、福祉現場で対応に翻弄(ほんろう)されてきたことを振り返り、「そうした中においても医療、介護の提供を止めることはできないことを踏まえれば、地域住民の皆様を支えるためにも、平時から医療と介護の連携を円滑に行う体制構築の重要性をこれまで以上に感じている」とし、引き続き、日本医師会としても医療と介護の連携により、しっかりと地域を面で支えられるよう、医療・介護・福祉関係者と共に、実効性のある体制整備に向けた取り組みを進めていく姿勢を示した。
 会見に同席し、今回の改定議論にも携わった江澤和彦常任理事は、まず、今回の介護報酬改定の改定率プラス1・59%の内訳について、介護職員の処遇改善分プラス0・98%、その他改定率(介護職員以外の処遇改善等)プラス0・61%であり、賃上げ対応に活用するものになると説明。その他、国では改定率の外枠として、介護職処遇改善加算の一本化等と光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果を合わせて、プラス0・45%相当のプラス改定が見込まれると想定しているとした。
 また、今回の改定に当たっては、(1)地域包括ケアシステムの深化・推進、(2)自立支援・重度化防止に向けた対応、(3)良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり、(4)制度の安定性・持続可能性の確保―の4本を柱として改定が行われたとし、それぞれの項目で医療に関連する部分について概説した。
 (1)では、介護老人保健施設が提供する短期入所療養介護における総合医学管理加算について、居宅サービス計画において計画的に行うものも加算対象とされ、算定日数を現行の7日から10日を限度とすることに見直された他、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の配置医師緊急時対応加算、介護保険施設等の協力医療機関の要件見直しなど、高齢者施設等と医療機関の連携強化に関する取り組みや認知症対応力強化への加算の新設がなされたことを紹介。
 (2)では、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取り組みを実施した場合の評価が新設されたとした。
 また、(3)では、処遇改善に関する三つの加算を4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化し、加算率が上乗せされた(施行時期は6月1日)ことを説明した。
 その他、各論として、「ケアマネジャーから、入院先の医療機関への情報提供までの日数の短縮化の評価の見直し」や「訪問リハビリテーションに認知症短期集中リハビリテーション実施加算を新設」「訪問リハビリテーション事業所、介護予防訪問リハビリテーション事業所のみなし指定が可能な施設に『介護老人保健施設』『介護医療院』が追加された」ことの他、介護事業経営実態調査の結果を踏まえ、介護老人保健施設と介護老人福祉施設の基本報酬が評価されたことなどを説明した。

訪問介護適正化の影響を注視―江澤常任理事

 その上で、江澤常任理事は今回の改定を振り返り、プラス改定となったことを評価するとともに、「しっかりとサービスの向上がなされるようにしていきたい」とする一方、介護事業経営実態調査の結果を踏まえ、訪問介護の点数の適正化がなされたことに言及。「訪問介護は介護分野の中でも最も人材不足が著しいサービスであるばかりでなく、在宅医療は、訪問介護の生活の支えがあってこそ継続可能となることから、今後もしっかりその影響を注視していくべきだ」との考えを示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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