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令和6年(2024年)2月5日(月) / 日医ニュース

令和6年能登半島地震に対する日本医師会の対応について

日本医師会定例記者会見 1月10・17日

令和6年能登半島地震に対する日本医師会の対応について

令和6年能登半島地震に対する日本医師会の対応について

 細川秀一常任理事は1月10、17の両日に記者会見を行い、令和6年能登半島地震に対する日本医師会の対応について説明を行った。

10日

 細川常任理事は、まず、日本医師会では、1日の地震発生直後に災害対策本部を設置し、3日には浅沼一成厚生労働省医政局長及び馳浩石川県知事からの協力要請を受け、調整した結果、石川県医師会から「先遣JMAT」が派遣されたことを紹介。
 続いて、5日には愛知県医師会から先遣JMATが派遣された他、松本吉郎会長名で全国の都道府県医師会に対し、JMATの編成・派遣依頼を行ったとした。
 6日には、先遣隊を除いた石川県外からの最初のJMATとして、福岡県医師会のチームが穴水(あなみず)地域を担当。その後は順次JMATが派遣されており、10日時点では、主に七尾市、穴水町、志賀町(しかまち)へのチーム、JMAT調整本部や支部に詰めるチーム、法医学会のチームなどが派遣されているとして、その協力に感謝の意を示した。
 また、1月10日時点の調整体制について、石川県庁に「JMAT調整本部」を設置しており、公立能登総合病院内に設けた「七尾調整支部(現:JMAT能登中部調整支部)」では、愛知県医師会が調整を行っていることを説明。「こうした体制整備により、各都道府県医師会から派遣されてくるJMATの配置調整を行い、効率的な医療支援活動につなげたいと考えている」と述べた。
 次に、こうしたJMAT活動等を効果的に行うために、西日本豪雨災害や北海道胆振東部地震が発生した2018年には日本災害医学会との間で相互協力協定を締結し、同医学会にインストラクター、ファシリテーターを派遣してもらい、「日本医師会JMAT研修」を行ってきた他、昨年は被災地に感染制御チームDICTを派遣する日本環境感染学会とも協定を結んだことを紹介。多くの人が研修を受けたことによって、JMATの避難所等での活動、派遣調整などの統括業務、ロジスティクス機能の強化が図られてきたとした。

JMATのロジスティクスチームを創設

 その上で、現在被災地に派遣されているJMATは、医師も事務職員も、こうした研修の修了者、あるいは、インストラクター、ファシリテーターで多くが占められていることを説明した他、JMAT調整本部もロジスティクス機能がひっ迫していることから、JMATのロジスティクスチームを創設することを説明するとともに、外国人患者に備え、電話やビデオによる医療通訳サービスも実施するとした。
 同常任理事は、「今後、被災地の保健医療ニーズは拡大していくことが見込まれる。また、相当の長期戦を覚悟しなければならない」と強調するとともに、被災地の方々の命と健康を守り、石川県医師会を支えていくため、全国の医師会を挙げて、関係団体とも連携を取りながら、JMAT活動に取り組んでいく姿勢を示し、災害対応において重要である遺体の検案にも、日本法医学会、警察庁、厚労省等と連携しながらJMAT活動の一部として協力していくとした。

17日

 細川常任理事はまず、1月16日時点でのJMATの派遣状況について、主な派遣先は穴水町と志賀町になっているとし、「地域の状況は災害急性期から亜急性期に移行しつつあり、今後、JMATの必要性は高まってくる」との見方を示した。

「重装JMAT」を足掛かりとして能登北部への支援を拡大

 その上で、今回のJMAT活動について、平時からの都道府県医師会と各県の災害医療専門家との連携を基に、DMAT隊員がJMATとして出動しているケースが多いことが特色であると説明。そうした重装備のチームを「重装JMAT」として、被害の大きかった北部の能登町(のとちょう)や輪島市などに先遣し、道路事情や天候、宿泊先の確保等の状況が改善された時に通常のJMATを派遣できる足掛かりとする意向であるとした。
 また、北部の健康リスクの高い被災者が、金沢市のいしかわ総合スポーツセンターなど、いわゆる1・5次避難所や2次避難所に移動していることから、JMATの新たな活動先として、それらの避難所を追加したことを報告。1・5次及び2次避難所においても、災害前からの薬の服用も含め医療支援ニーズがあるとし、「これまでに編成したチームを振り向けることもしていく」と述べた。
 更に、石川県庁内のJMAT調整本部と同じフロアに、1・5次及び2次避難所への派遣調整のための支部(現:金沢以南調整支部)を新設するとし、「このJMAT活動は、避難所の状況確認や避難者の健康管理・診療が主な活動であるので、普段、地域のかかりつけ医として活動されている経験が生かせるのではないか」と期待を寄せた。
 この他、JMAT活動の拡大、多様化に伴い、本部や支部の機能強化も求められており、統括JMATやJMATロジスティクスチームを増強するとし、本部・支部機能の強化によって情報共有の課題を解決しつつ、被災者の健康管理、災害関連死の防止に努めていく考えを示した。
 その後の記者との質疑応答の中で1・5次及び2次避難所の状況について問われた細川常任理事は、1・5次避難所の視察ではライフラインは整っているものの、薬が必要であるが、お薬手帳を持っていない人が多いなどの状況が見られたことを報告した。

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