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令和6年(2024年)2月7日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

令和6年能登半島地震に対する日本医師会の対応について

 松本吉郎会長は2月7日に記者会見で、令和6年能登半島地震の発災から5週間以上が経過した被災地の現状とJMATの活動状況を報告した上で、今後の展開について説明した。

 松本会長はまず、能登半島北部ではいまだに断水が続いているところもある状況の中で、全国から多くの医療従事者が日本医師会災害医療チーム(JMAT)として被災地に赴き、避難所の巡回、診療所の先生の診療支援、高齢者施設等への巡回などに従事頂いていることに、改めて感謝の意を述べた。

 JMAT活動の現状については、主に1.5次及び2次避難所での支援と能登半島の医療機関や避難所の支援という2方面での対応となっていると説明。輪島市内の大型宿泊施設が確保できたことで、今後、能登北部の支援活動の幅が広がっていくことに期待感を示した。

 一方で、新たな課題として、(1)DMATが行っている支援をどのようにJMATが引き継ぐのか、(2)金沢以南の病院に移送され退院できる状態になった患者をどこに移すのか―を挙げ、自身が来週12日に再度、石川県を訪問する際に現地の声を聞き、これらの課題の解決方法や今後の支援のあり方等について考えていくとした。

 また、2月1日に石川県庁に「復旧・復興本部」が設置され、「創造的復興」として、「奥能登における医療・福祉提供体制の充実・強化」を掲げていることにも触れ、「復興」は長期的なビジョンとして大変重要であるとするとともに、高齢化率の高い能登北部や中部の地域においても可能な限り早い「復旧」も必要であると指摘。そのためにも、「地域のかかりつけ医機能」「地域包括ケアシステム」を担う診療所の一刻も早い復旧が求められるとし、日本医師会としても、石川県医師会とも歩調を合わせ、国や石川県に対して診療所の再建支援とライフラインの回復を強く要望していく意向を示した。

 その上で、松本会長は、医師会による支援活動の最終目標は、「被災地に地域医療を取り戻すこと」にあると強調。「被災地の診療所の先生方及び看護職、事務職などとともに、再び地域に根ざして、かかりつけ医機能を発揮してもらうためにも、引き続き、被災地の皆さんに寄り添った支援を続けいく」と述べた。

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 引き続き報告を行った細川秀一常任理事は、まず、JMATの派遣状況について、2月6日時点で合計387チームが派遣されており、6日単日では37チーム(金沢市3、七尾市1、穴水町1、志賀町2、能登町3、輪島市8、珠洲市2、金沢以南8、その他9)であることなどを説明。輪島市への派遣が増えてきている背景として、宿泊先が確保されたことが寄与しているとの見方を示した他、石川県医師会の会長経験者など、"大ベテランのかかりつけ医"と言えるような医師もJMATとして出動していることを紹介し、「疲弊した被災者の方々の心を解きほぐし、健康管理や医療支援の充実に道を開いて頂けるものと期待している」と述べた。

  更に、今後状況の改善が続いた場合、珠洲市も含め、DMAT隊員中心の「重装JMAT」だけでなく、標準的なJMATも多く派遣できるとの見通しを示すとともに、能登北部や中部は高齢化率の高い地域であることから、「地域の診療所が早く"復旧"することが大切」と指摘した。

 また、能登北部地方でのJMAT活動について、被災した診療所を支え、診療の再開をサポートしているとした上で、「地元の開業医の先生方は、災害前だけでなく、当然、災害が収束した後も、地域医療、地域包括ケアの中心となって頂く方々である」と強調。こうした医師の再起を図り、行政と一緒になって、これからの地域の医療や介護の体制づくりを考えてもらえるよう、日本医師会としても支えていく考えを示した。

 細川常任理事は、JMATの派遣調整機能についても触れ、都道府県医師会の協力により、当初に比べて効率的で充実したチームの配置調整が可能になったとするとともに、本部と支部の間では、日本医師会がホストとなり、毎日WEBミーティングで意見交換や情報の共有を行っていることを説明。「更なる派遣体制の充実に努めていく」と述べた他、今後、仮設住宅の建設、交通事情や宿泊先確保など状況が改善されていく中で、介護や福祉の支援が重要となってくることから、JMAT、日本医師会として、石川県医師会や県内の各郡市医師会と共に、被災地の医療・介護関係者等との連携を強化していく方針を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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