令和6年(2024年)2月20日(火) / 日医ニュース
第2回改正感染症法等に基づく協定に関する協議を円滑に進めることを目的に開催
令和5年度都道府県医師会 新興感染症医療提供体制担当理事連絡協議会
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第2回改正感染症法等に基づく協定に関する説明会が、令和5年度都道府県医師会新興感染症医療提供体制担当理事連絡協議会を兼ねて、1月23日、日本医師会館とTV会議のハイブリッド形式で開催された。
釜萢敏常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつを行った松本吉郎会長は説明会の開催趣旨について、「改正感染症法の施行が近付き、都道府県と各医療機関において協定の締結などに向けた協議が行われる中、各地域で不安や混乱が生じている懸念があることから、全国各地の協議を円滑に進めることを目的に2回目の説明会を開催した」とし、「各地域で協議を進め、今後起こり得る新興感染症等に備えて取り組みを進めて欲しい」と述べた。
引き続き行われた議事では、まず、高宮裕介厚生労働省医政局地域医療計画課参事官が、(1)医療措置協定、(2)協定締結医療機関等への財政支援―について説明を行った。
(1)では、同協定に関して、感染症の流行初期には流行初期医療確保措置付きの協定締結医療機関が対応し、一定の知見が集まるなどした後、全ての協定締結医療機関が対応する流れなどを改めて示した上で、医療措置協定の目的は主に、平時から地域における役割を踏まえた新興感染症に対応する医療及び新興感染症以外の通常医療の提供体制の確保を図ることにあると解説。新型コロナウイルス感染症への対応を念頭に、最大規模での対応を目指すとした他、新たな感染症の性状が想定と大きく異なる場合には、柔軟な対応を行うとした。
更に、協定の締結作業は本年9月末までの完了を目指すとされていることを説明。併せて、「正当な理由」なく同協定に基づく措置を履行できない場合の履行担保措置についても触れ、「正当な理由」は、感染状況や医療機関の実情に即した個別具体の判断が必要であるものの、「医療機関内の感染拡大等により、医療機関内の人員が縮小している場合」などが考えられるとした。
(2)では、平時と新興感染症発生・まん延時それぞれに、現時点でどのような支援が検討されているかを紹介した上で、具体的な支援内容は、その時発生した感染症の特性や感染状況等を踏まえ、検討していくことになるとした。
また、令和5年度補正予算で計上した新興感染症対応力強化事業の内容も説明し、協定締結医療機関や都道府県に対して、施設・設備整備や医療従事者等の研修への支援(補助)が行われるとした。
その後の協議では、主に事前に寄せられた各都道府県医師会からの質問や要望に対して、高宮参事官及び日本医師会役員が回答を行った。
協定は双方合意の上での締結が重要―釜萢常任理事
回答に先立ち、釜萢常任理事から補足的な説明として、協定はあくまでも双方が合意の上で、心配や不安のない形で締結することが重要であることを強調。また、国に対しては、新型コロナウイルス感染症への体制を基本としているが、病原性が極めて高いなど想定外の感染症が問題になった場合の対応について、性状が分かるまでの体制を含め、しっかりと対応を考えておくことを要望した他、そうした場合の保険や補償に関する問題も解決していく必要があるとした。
質問への回答では、まず、対応に当たった医療従事者の身分保障や風評被害への対応などに関する質問に対し、高宮参事官が、対応に当たる医師、職員への補償等は今回の新型コロナウイルス対応を参考に検討することになるとした上で、風評被害については、国民への周知や情報提供をしっかりと行うとした。
また、医薬品や検査キットが不足し、通常の発熱診療も困難な状況では新興感染症に対応する医療機関は増えないことから、「医療措置協定を締結した医療機関に、新興感染症発生時には医療物資を優先的に提供できる仕組みを構築すること」などを国と協議するとし、明確な方針を打ち出すことを求める意見には、医療機関には回転備蓄を推奨するとともに、都道府県、国もそれぞれ医療物資の備蓄を行うことで対応をしていく考えを示した。
診療所の医療措置協定は任意であり、診療報酬上の加算等の内容が未確定な状態で協定を結ぶことは困難なため、協定内容の最終案の提示を求める要望には、財政支援は令和5年度補正予算にて手当てされているとの見方を示すとともに、診療報酬上の対応は今後の議論になると説明した。
新興感染症が非常に高い病原性を有している場合などに、国の判断を待たず、都道府県と医療機関の判断で協定内容を変更できるような契約の可否については、協定は都道府県と医療機関で締結するため、協議の上、機動的に内容を変更することは可能だとした。
日本医師会が窓口となって締結医療機関が加入可能な保険の創設をすること及び各都道府県の契約締結内容を日本医師会が集約し、都道府県医師会間で共有できるようにすることが必要であるとの指摘には、釜萢常任理事が回答。病原性が分からない状態では保険会社も対応が難しい事情があるものの、日本医師会として役割を果たしていきたいとした他、締結内容の集約及び情報共有は進めるとの意向を示した。
総括を行った茂松茂人副会長は、医療措置協定は今年9月までに締結する慌ただしいスケジュールとなるとした上で、協議に際しては、個々の医療機関自身の考えが一番に尊重されることを強調。「医療機関がそれぞれの機能に応じて、できる範囲で対応して頂くことが重要である」と述べ、協議会は終了となった。