神村裕子常任理事は3月13日に記者会見を行い、松本吉郎会長より「次期医療計画策定等を踏まえ、将来を見据えた有床診療所のあり方について」の検討を行うよう諮問を受け、全8回の有床診療所委員会で議論を重ねた上で最終答申を取りまとめ、3月8日に有床診療所委員会の齋藤義郎委員長(徳島県医師会長)から松本吉郎会長に提出したことを明らかにし、その概要を説明した。
本答申は、「はじめに」「第1章 現状分析や課題等について」「第2章 将来を見据えた有床診療所のあり方について」「第3章 有床診療所の認知度向上の取り組みについて」「第4章 専門医療について」で構成されている。
同常任理事は、「はじめに」では、現在、有床診療所は減少しつつあるが、コロナ禍により有事においての有用性が再認識されたとともに、現状分析と課題については引き続きの検討が必要であること、都道府県の第8次保健医療計画に有床診療所の機能と役割を書き込み、地域医療構想調整会議に積極的に参画して地域医療の将来を共に考えることで存在意義を示す必要があることなどが記載されていると説明するとともに、多くの議論が交わされたのは「コロナ禍を経ての今後の有床診療所の将来について」であったと今回の議論を振り返った。
また、議論の中では、有床診療所自体を知ってもらうことの重要性の指摘もあったことから、同委員会が準備に関わり、日本医師会と全国有床診療所連絡協議会の共催で開催した「有床診療所の日」記念講演会を含め、さまざまな認知度向上の取り組みを「第3章」に取りまとめているとした。
更に、「第4章」では、(1)産婦人科、(2)眼科、(3)泌尿器科、(4)整形外科―の4つの各専門領域について、それぞれの現状や課題などがまとめられているとし、(1)では、出産の4割が行われている有床診療所の正常分娩の保険適用化等の課題などが、(3)では、泌尿器疾患の治療における有床診療所の役割などが、(4)では、現状分析と改善策などがそれぞれ記載されていることを報告。(2)の眼科領域に関しては、災害対策も含めた議論を行ったが、元日の能登半島地震の影響から取りまとめに至らなかったとして、来期以降の課題となるとの考えを示した。
最後に、神村常任理事は、有床診療所について、「無床診療所と比べてさまざまな可能性のある施設形態である」と指摘した上で、施設規模や従業員数が無床診療所比較的大きな有床診療所は、コロナ禍においても病院と自宅の中間的な施設としての利用など、さまざまな活躍を担っており、今後も新興・再興感染症への対応にも一定の役割が期待される他、災害時などの有事においても地域拠点として活躍できるポテンシャルをもった施設であると強調。「日本医師会としても、さまざまな周知活動のお力添えをして、全国各地の地域に寄り添っている有床診療所を更に支えていきたい」と述べた。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会地域医療課 TEL:03-3946-2121(代)