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令和6年(2024年)3月20日(水) / 日医ニュース

名称新たに「警察活動協力医会」として活動

名称新たに「警察活動協力医会」として活動

名称新たに「警察活動協力医会」として活動

 令和5年度都道府県医師会「警察活動協力医会」連絡協議会・学術大会が2月23日、日本医師会館とWEB会議のハイブリッド形式で開催された。
 連絡協議会は、担当の細川秀一常任理事の司会で開会。冒頭、ビデオメッセージであいさつを行った松本吉郎会長はまず、令和6年能登半島地震の犠牲者へのお悔やみ及び被災者へのお見舞いの言葉を述べるとともに、日頃の警察医の活動に謝意を示した。
 また、「警察活動協力医会」は、いわゆる「警察医」の活動を医師会として支え、警察との連携を更に強固なものとしていくための取り組みであるとし、平成26年開始当初より「仮称」としていた会の名称を、今回より正式に「警察活動協力医会」とすることを報告した。
 その上で、かつてない"多死社会"への突入や南海トラフ地震、首都直下型地震などの災害に伴う死因究明の分野において、その中核となる警察医が果たす役割が重要になるとして、本会の開催に期待を寄せた。

連絡協議会

(1)報告

 報告では、細川常任理事が、①令和6年能登半島地震への対応②医会名称決定の経過―について報告した。
 ①では、今回の能登半島地震での検案対応について、日本法医学会の会員が日本医師会災害医療チーム(JMAT)に加わり、「日本医師会・日本法医学会検案チーム」の枠組みで派遣されたことなどを紹介した。
 また、②では、平成26年より医師会主導の下で警察に協力し、検視の立ち合いや検案等を行う医師の全国組織の構築に取り組むとともに、各都道府県医師会内にも警察活動に協力する医師の部会の設置を求め、その集合体を「都道府県医師会『警察活動に協力する医師の部会(仮称)』連絡協議会」として、これまで活動してきたことを説明。会の名称については、会内の「警察活動等への協力業務検討委員会」での協議を経て、今回より「警察活動協力医会」に決めたと、名称決定までの経緯を報告するとともに、「あくまで各都道府県医師会の部会等の総称であり、既存組織の個別名称の変更を求めるものではない」として、理解を求めた。
 次に、中野貴章厚生労働省医政局医事課死因究明等企画調査室長が、死因究明等推進計画の概要及び進捗状況等を概説。今年6月をめどに第2次死因究明等推進計画の閣議決定を目指して作業を進めていることを報告するとともに、引き続き、死因究明の推進に向けて、さまざまな課題に取り組んでいく姿勢を示した。
 また、死因究明等に携わる人材育成を広げるための方策として、法医学教室を研修の場にすることや検案の実務においてデジタル化の仕組みを検討していく考えを示した。
 新倉秀也警察庁刑事局捜査第一課検視指導室長は、警察の死体取扱業務について、「犯罪死体であるか否かの見極めが目的であるが、そのためには医師の協力が不可欠である」と強調。また、令和5年の警察取扱死体数が19万8664体と過去最多となったことを踏まえ、今後の課題として、①検視・死体調査に立ち会う医師の確保②関係機関との協力関係の構築・強化③大規模災害への備え④死因究明等推進地方協議会の活用等による、地域の実情に応じた取り組みの推進―が重要になるとした。

(2)都道府県医師会からの提出議題、質問・意見及び要望

 岡山県医師会から事前に寄せられた「死因究明の精度を向上させるために解剖実施率の限界を穴埋めする方法」については、岩藤知義岡山県警察協力医会長/岡山県医師会警察医部会委員会委員が、岡山県における令和5年度の解剖率及び死後CT撮影実施率を報告した上で、死因が推定病名となる際の補完としてCT撮影が有効な手段となるとの考えを示し、その実施を求めた。
 また、細川常任理事からは、『令和5年版死因究明等推進白書』より抜粋した「都道府県警察における死因究明等に係る体制及び死体取扱状況(刑事関係)」についての紹介がなされた。

学術大会―基調講演と6題の一般講演

 続く学術大会では、本村あゆみ国際医療福祉大学医学部講師が、「大規模災害時のDVI(Disaster Victim Identification:災害時の身元確認)活動における多職種連携の重要性」と題して基調講演を行った。
 本村氏は、過去の災害から令和6年能登半島地震までの検視・検案活動を踏まえて、大規模災害時における課題として、(1)不十分な死因調査、(2)情報不足、(3)検案書の異なる記載方法等、(4)科学的根拠に基づかない個人識別―などがあると指摘。その上で、「災害時の法医学的活動においては、正確な死因判断と身元の確認が重要であり、それが死者の尊厳と遺族の権利を守ることにつながる」として、死因究明の重要性を強調した。
 また、海外におけるDVI活動や、千葉大学附属法医学教育研究センターが行っている大規模災害時DVI訓練の活動状況を紹介。その上で、都道府県の枠組みの中で、法医学を含めた多職種が連携した日本版のDVIチームの体制構築を目指す意向を示し、協力を求めた。
 その後は、一般公募で選ばれた①浴室内死亡の死因究明に対するAi―CTの有用性の検討―2020年3月初めより2023年2月末までに経験した55例の検討―②バリウム胃透視検査後に腸管穿孔により腹膜炎を併発し死亡した一例③検案・Aiの説明における有用なツール(154種類のイラスト入り疾患説明書、死因統計早見表、Aiチェックシート、3次元画像解析)④検案時の家族対応に関する考案⑤令和の警察嘱託医死体検案事情⑥多死社会における警察活動協力医の課題―6題の講演が行われ、猪口雄二副会長の総括で大会は終了となった。
 参加者は、連絡協議会116名、学術大会が169名。

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