今号では令和6年能登半島地震の際に、医学生として「神奈川JMAT」に参加し、活動を行った国際医療福祉大学医学科3年の田村晃子さんに、今回活動に参加したきっかけや活動内容、活動を通じて感じたことなどについて話をして頂いた。 |
---|
Q 今回JMAT活動に参加されたきっかけは?
A 小学1年生の頃に東日本大震災を経験し、小学校や中学校でも震災についての授業や被災者の方との交流プログラムがあったことから、被災地支援に関して興味があり、医学部に入ってからは災害医療の分野に関わってみたいと思っていました。
1月1日にテレビで悲惨な能登半島地震が起こったことを知り、何か医学生として貢献できることは無いかと思っていましたが、大学の授業のため1、2月はなかなか行動を起こせずにいました。
そんな中、3月に春休みに入ったタイミングで神奈川JMAT隊としての派遣のお話を頂き、参加させて頂きました。
Q 実際にどんな活動をされたのですか?
A 現地では、ロジスティクス担当として石川県庁内に設置したJMAT調整本部で出発・到着されるJMAT隊の皆様のチェックイン・チェックアウトの管理や、それぞれの隊が今何をしているのかの確認と報告、クロノロジーの作成、ブリーフィング資料の作成などに関わらせて頂きました。
その他、実際に輪島市にも赴き、介護施設に物資の運搬なども行いました。
Q 活動をされて感じたことや改善すべき課題があれば教えて下さい
A 私が派遣された3月の被災地は、急性期を乗り越え、慢性期へと移り変わる時期に差し掛かっていました。
現地ではJMATだけでなく、DPATやPT・OTのチーム、鍼灸師のチームなど、さまざまな職種が協力しながら被災者のケアに当たっていることを知り、心と体の両方を支えていくことが慢性期の被災地では重要であると感じました。
また、被災地では自身も被災しながら医療に従事されている方々が疲弊しているように思いました。
私達外部の医師会から支援する者は、現地で踏ん張る皆様をサポートする立場として、全力を尽くす必要があると強く感じました。
私が課題と感じたのは、支援物資の適正な配置についてです。外部から派遣された私達が、現地で災害医療に従事している方々と円滑にコミュニケーションを取ることは難しく、時には不必要な物資を支援してしまったのではないかと感じる場面もあり、改善の必要を感じました。
Q 医学生の皆さんに一言お願いします
A 医学部の授業では、災害医療について学ぶ機会が限られていると感じます。
しかし、今回の派遣を通じて、日本という災害大国で将来医師として働こうとしている者として、医学生のうちから災害医療に関する知識や経験を深める必要があると強く思いました。
急性期における救急医療、すなわち、けがを負った被災者の治療について学ぶことはもちろん重要ですが、避難所での感染症対策や、被災によって精神的なダメージを受けた方への対応など、亜急性期から慢性期に掛けての災害医療についても医学生のうちから学ぶことが大事なのではないでしょうか。
私自身も、今後更に勉強を重ね、災害時に被災者の心と体を支えられる医師になるよう努力していきたいと思います。