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令和6年(2024年)12月5日(木) / 日医ニュース

日本臨床分科医会代表者会議 所属医会の活動⑦

※活動の詳細は各会のホームページをご覧下さい。

日本放射線科専門医会・医会

●力を入れていること:専門医数の増加
 日本放射線科専門医会・医会(以下、JCR)のミッションは「放射線医療の発展を通して国民の健康と福祉に貢献する」です。しかし、このミッションを完遂するには人数が圧倒的に不足しています。方策の一つとして診療放射線技師に画像の一次スクリーニングを付託する動きが出てきました。この業務の概念としてはナース・プラクティショナーのそれに近いものです。
 かたや専門医の不足は何も放射線科に限ったことではありません。他の分野でも同様に不足しています。これは医師数の不足を意味するのでしょうか? 大局的に見ると、どうも違うようです。なぜなら、政府は医学部の定員を縮小する方向に転じているからです。ではなぜ、このような一見すると逆向きの動きが生じるのでしょう?
 専門医不足の原因は「各領域の専門医が計画的に育成されていない」というところにあります。実は日本は国際的に見ても、かなり異質な医療政策上の方策をとっており、それは「どの診療科を選んでも自由」という放任主義です。これは自由標榜制とも共通する概念です[1]
 通常、先進国では専門医数の上限が定められており、それを介して医療費の高騰を抑えています。コントロールの方法は三つあり、第一に政府が介入する方法(アジアに多い)、医師会によるコントロール(西洋に多い)、そして学会によるコントロール(米国)です。そのいずれも行っていないのが日本です。
 JCRはこういった対応に対し異議を唱えています。しかし、この考え方には根強い反対もあり、引き合いに出されるのが「憲法22条(職業選択の自由)に反する」というものです。しかし、これは憲法解釈の誤りだということを『日医雑誌6月号』に載せました[2]
 JCRはこのように専門医制度の将来について議論を深める場所となっています。
参考文献
1. What Has Caused the Shortage of Radiologists? Korean J Radiol. 2023; 24: 933-935.
2. 専門医制度に関する一考察. 日医雑誌2024年. 153巻・3号. 310

https://jcr.or.jp/

日本麻酔科医会連合

 日本麻酔科医会連合は2021年に設立された新しい医会です。麻酔科での開業は少ないので、大学教授や大病院の責任者からなる地区麻酔科医会や麻酔関連学会が主な会員です。内部組織がまだ小さく、組織の充実に力を注いでいます。
 本会の目的は、日本麻酔科学会関連で起きている手術件数の倍増、集中治療・ペインクリニック・緩和医療などへの麻酔科医の領域拡大によるマンパワー不足とタスクシフト、働き方改革等の問題点を、関連学会のリーダーの方々、行政などと正しく情報を共有することにあります。
 近年、麻酔科医は増えたとされていますが、比率としては伸びても、絶対数が小さいため増加数も小さく、需要に追い付いていないというのが肌感覚であります。
 初期研修制度、新専門医制度、臨床研究法、医師の働き方改革など、一連の制度改革が行われてきましたが、この間に生じた研究力の低下に加え、日本の医薬品の輸入超過は3兆円を超えています。
 また、医師の働き方改革では、教育・研究時間の制限や研究機関からの離職が懸念されている一方、医療の高度化や新しい技術は新たな分野を発生させ、医療ないしは多種多様な高度技術を有する医療人材に対する需要の増加を招いており、この傾向は今後も続くと思われます。
 麻酔科領域でもこれらの現象は起きており、特に医療の高度化は、麻酔科医の需要を増やしてきました。更に、研究力の低下は、日本麻酔科学会にとっては大きな課題となっています。
 一連の制度改革が完了した今、失ったものを取り戻す時期と考えています。教育や研究・開発の基本は「人」と「人を育む体制」が重要となります。
 日本麻酔科医会連合では、時間が掛かりますが若い医師に希望のもてる体制づくりと、人材の育成に力点を置きたいと考えており、日本医師会にはその支援をお願いしたいと考えています。

https://jfanesth.jp/

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