第13回「日本医師会 赤ひげ大賞」(主催:日本医師会、産経新聞社、協力:都道府県医師会、特別協賛:太陽生命保険)の受賞者として、「赤ひげ大賞」5名、「赤ひげ功労賞」14名が決定し、選考委員を務めた黒瀬巌常任理事が1月8日に行われた定例記者会見で発表した。 |
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「日本医師会 赤ひげ大賞」(以下、「赤ひげ大賞」)は、地域の医療現場で健康を中心に地域住民の生活を支えている医師にスポットを当て、その活躍を顕彰することで、各地の医療環境整備、医療活動の充実に寄与することを目的として、平成24年に日本医師会と産経新聞社が創設したものである。
「赤ひげ大賞」の名称は、山本周五郎の時代小説「赤ひげ診療譚(しんりょうたん)」に由来しており、同小説の主人公は、江戸時代中期に貧民救済施設である小石川養生所で活躍した小川笙船(しょうせん)をモデルとしている。
賞の創設以来、毎回、5名の医師を「赤ひげ大賞」に決定、第8回からは「赤ひげ功労賞」も創設し、その功績を称えている。
13回目となる今回は、選考会を昨年11月7日に日本医師会小講堂で開催。前回に引き続き、医学生(本年度は和歌山県立医科大学、琉球大学に地域枠で入学した学生グループ)にも選考委員として参加してもらい、「将来このような医師になりたい」という視点から、選考を行ってもらった。
その結果、都道府県医師会から推薦された候補者から19名を「赤ひげ功労賞」に、その中から5名を「赤ひげ大賞」に選定した(大賞受賞者の功績、功労賞受賞者の氏名は下掲参照)。
会見で受賞者を公表した黒瀬常任理事は、「今回の受賞者も長年にわたり、住民の健康確保や保健・福祉の向上に親身になって取り組んでこられた、素晴らしい功績の方ばかり」と今回の選考を振り返った上で、「多くのマスコミに受賞者の功績を取り上げてもらえることは、受賞者の励みにもなる」と強調。また、「受賞者の功績を知ることで、一人でも多くの方々に、受賞者のようなかかりつけ医をもちたいと思ってもらえればありがたい」と述べた。
なお、表彰式・レセプションについては、2月に都内会場で開催する予定となっており、その模様は後日、本紙でも詳報する。
選考委員 |
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羽毛田信吾(恩賜財団母子愛育会会長) 向井 千秋(東京理科大学特任副学長) 檀 ふみ(俳優) ロバート キャンベル(早稲田大学特命教授) 森光 敬子(厚生労働省医政局長) 医学生(和歌山県立医科大学、琉球大学/令和6年度) 城守 国斗(日本医師会常任理事) 黒瀬 巌(日本医師会常任理事) 羽成 哲郎(産経新聞社取締役) 河合 雅司(産経新聞客員論説委員) (敬称略) |
「赤ひげ大賞」受賞者(5名)
順列は北から
受賞者の年齢は2025年1月8日現在
中村 伸一(なかむら しんいち)医師
61歳 福井県 おおい町国民健康保険 名田庄診療所 所長
人口約2,000人の地区唯一の診療所で30年以上勤務を続けている。1991年に診療所、村役場住民福祉課、社会福祉協議会の全職員からなる「健康と福祉を考える会」を結成し、多職種による訪問調整・事例検討会、在宅ケア講座、ボランティアグループ結成など、保健・医療・福祉の連携を実現。住民と共に活動することを目指し、国保診療所と国保総合保健施設が一体化した「あっとほ~むいきいき館」の創設にも尽力した。地域医療研修の研修医を受け入れ、後進の育成にも熱心に取り組む。
早川 富博(はやかわ とみひろ)医師
73歳 愛知県 愛知県厚生農業協同組合連合会 足助病院 名誉院長
1996年に赴任し、訪問診療にも従事。過疎地の在宅療養者を見守るべく、画像・音声・生体情報の双方向通信が可能なシステムを開発した他、電子カルテを導入するなど、医療・介護の情報ネットワークの構築に努めてきた。住民健診にも30年近く従事し、健康啓発活動を行うとともに、2010年には「三河中山間地域で安心して暮らし続けるための健康ネットワーク研究会」を設立して地域住民、保健・医療・福祉・介護サービス事業者、行政、各種団体等と連携した活動を展開している。
中村 正廣(なかむら まさひろ)医師
76歳 大阪府 中村クリニック 理事長
かかりつけ医を志して開業し、クリニックの上に住まいを設けて約30年、時間外も患者に対応してきた。患者が最期まで住み慣れた街で過ごせるよう、地区医師会を通じて在宅医療の体制充実に注力。多職種連携、災害時の在宅医療体制の構築にも大きな役割を果たした。在宅医療の最終段階は「まちづくり」であるとして、地元商店街の中に高齢者や児童など多世代が交流する場である「新道パトリ」を私財を投じて開設、今では医療・介護・地域・各種団体との連携基盤となっている。
高垣 有作(ゆうさく)医師
66歳 和歌山県 国保すさみ病院 顧問
2055年の日本の高齢化率予測に既に達しているすさみ町において、限られた医療資源を効率的に活用するため、広報や講演などを通じて地道な啓発活動を行い、多かった休日・時間外の不要不急の受診をピークの60%まで減少させた。2009年からは医師搬送型の新型ドクターカーの運用を行う一方、予防医療を推進し、臓器別にとらわれない総合診療を実践した他、赤外線センサーを用いて在宅での見守り体制も整備し、18年間で町の健康寿命を延伸させた。
間部 正子(まべ まさこ)医師
97歳 熊本県 間部病院 理事
1957年に耳鼻咽喉科を開業。周辺に医療機関が少ないため、医師の義父・夫と共に内科や外傷処置、帝王切開手術助手、予防接種、健康指導にも従事し、80床の病院に拡張してからは、増加する診療時間外受診、救急車搬送患者にも24時間・365日体制で対応してきた。また、実習病院として准看護師の育成に携わり、長年、地域の学校医を務めるばかりでなく、特別養護老人ホームやデイサービスセンターを設立するなど、地元の医療・福祉に多大な貢献をしている。
「赤ひげ功労賞」受賞者(14名)
順列は北から・敬称略
加藤 輝夫(かとう てるお)(北海道)
小笠原真澄(おがさわら ますみ)(秋田県)
高玉 真光(たかたま まさみつ)(群馬県)
小暮 堅三(こぐれ けんぞう)(東京都)
土肥 直樹(どい なおき)(神奈川県)
中村 國雄(なかむら くにお)(富山県)
紀平 章代(きのひら あきよ)(静岡県)
渡辺 康介(わたなべ こうすけ)(京都府)
武地 幹夫(たけち みきお)(鳥取県)
土手 慶五(どて けいご)(広島県)
吉田 修(よしだ おさむ)(徳島県)
今井 洋子(いまい ようこ)(愛媛県)
麻生 宏(あそう ひろし)(大分県)
徳留 一博(とくどめ かずひろ)(鹿児島県)