松本吉郎会長は、2月6日に江澤和彦常任理事と共に内閣府に赴き、赤澤亮正経済再生担当大臣と会談を実施。医療機関の経営状況が危機的状況であることを説明するとともに、令和8年度診療報酬改定に向けた対応を要請した。
会談では、松本会長がまず、特に病院経営において人件費の増加や物価の高騰等で医業利益・経常利益が悪化しているなど、医療機関の窮状を概説。
その上で、医療界における賃上げの実施状況に触れるとともに、医療・福祉就業者数は922万人(全産業の就業者の13.6%)に上っており、地方で特に割合が高く、家族を含めるとその数は更に多くなり、地方経済も支えている実態を説明。医療業の賃金の伸びと全産業の賃金の伸びには大きな開きがあることから、全産業の賃金の伸びに匹敵する賃上げができるような対応が必要とした。
次に令和8年度診療報酬改定に向けた対応として、(1)賃金・物価の上昇に応じた仕組みの導入、(2)「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」取り扱いの廃止、(3)小児医療・周産期体制の強力な方策の検討―の「3本の柱」について説明し、その実現を要請した。
松本会長は、(1)について、新たに診療報酬等について、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する仕組みを導入することを求め、「補助金だけでなく、場合によっては令和8年度診療報酬改定の前に、期中改定も視野に入れて対応していく必要がある」との考えを示した。
(2)では、社会保障予算の目安対応について、税収の伸びに基づく財政フレームの見直しを行い、足かせとなる「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」との取り扱いを廃止することを強く要請。医療・介護業界でも他産業並みの賃上げができるよう、骨太の方針に向けて一段加速した別次元の対応を求めた。
(3)では、小児医療・周産期体制について、著しい人口減少により対象者が激減していることや、出生数に好転の兆しが見えないことを説明。産科や小児科などの患者の減少だけはなく、将来の医療の担い手の減少にも影響してくるとの見方を示し、強力な方策の検討を求めた。
こうした説明に対し赤澤経済再生担当大臣は、まずは令和6年度補正予算による措置を迅速かつ着実に医療機関に届けることが重要とした上で、その効果を見極めつつ厚生労働省と連携しながら必要な対応を行っていくとした。
更に、「医療のないところに人は住むことはできない」と日本医師会と同様の考え方を示し、そうした観点から対応を進めていく姿勢を示した。
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