届出様式が大幅に簡素化されるとともに、令和7年3月31日時点でベースアップ評価料の届出見込みであれば給付金の受領が可能になりました
令和6年度診療報酬改定で新設された「ベースアップ評価料」の届出様式ですが、医療現場の声を基に日本医師会が厚生労働省と議論を重ねた結果、大幅な簡素化が実現しました。
また、ベースアップ評価料の算定が要件となっている、国の「生産性向上・職場環境整備等支援事業」による給付金の支給についても、日本医師会の働き掛けにより、支給対象が拡大されることになりました(下記参照)。
今号では、届出様式の簡素化の内容、具体的なシートの作成例、「生産性向上・職場環境整備等支援事業」の支給対象拡大の内容についてご紹介します。届出・算定されていない医療機関、特に診療所の皆様におかれましてはこの機会を利用して、ぜひ、3月末までにベースアップ評価料の届出を行えるよう、ご検討をお願いいたします。
届出様式の簡素化
今回行われた簡素化の内容 |
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◦「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」のみを届け出る場合の届出添付書類が大幅に簡素化されました。 ※新しい届出添付書類(Excel)には「別添」「計画書」「届出書」の3つのシートがありますが、「別添」シートを入力するだけで「計画書」と「届出書」は、ほぼ自動的に完成します。 ◦基本的には、直近1カ月の初・再診料等の算定回数を調べて頂くだけで、届出添付書類の作成が可能になりました。 |
3月に届出を行う医療機関の「別添」シートの作成例
日本医師会ホームページ(メンバーズルーム):https://www.med.or.jp/japanese/members/iryo/r06kaitei/baseup/baseup0129.html
ベースアップ評価料の算定を要件とする「生産性向上・職場環境整備等支援事業」の支給対象が拡大
また、国では賃上げ等のための生産性向上の取り組みを支援し、医療人材の確保・定着を図ることを目的に、令和6年度補正予算において「生産性向上・職場環境整備等支援事業」を実施することを決め、ベースアップ評価料を算定している医療機関であれば、給付金の支給を受けられるようになりました(例えば、無床診療所で生産性向上・職場環境整備等の経費相当分として1施設当たり18万円)。
日本医師会ではその対象の拡大を強く求めていましたが、このほど、令和7年2月1日時点でベースアップ評価料を届け出ている病院、有床診療所、無床診療所及び訪問看護事業者に加えて、同年3月31日時点でベースアップ評価料を届出見込みの病院、有床診療所、無床診療所及び訪問看護事業者まで支給対象に含められることになりました(概要は下記参照)。
生産性向上・職場環境整備等支援事業 概要 |
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支給対象 令和7年2月1日時点でベースアップ評価料を届け出ている又は同年3月31日時点でベースアップ評価料を届出見込みの病院、有床診療所(医科・歯科)、無床診療所(医科・歯科)及び訪問看護事業者 支給要件 令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に、以下の業務の効率化や職員の処遇改善を図る場合〔いずれか(複数可)〕に所要の経費に相当する給付金を支給する。 ◦ICT機器等の導入による業務効率化 タブレット端末、離床センサー、インカム、WEB会議設備、床ふきロボット、監視カメラ等の業務効率化に資する設備の導入 ◦タスクシフト/シェアによる業務効率化 医師事務作業補助者、看護補助者等の職員の新たな配置によるタスクシフト/シェア ◦給付金を活用した更なる賃上げ 処遇改善を目的とした、既に雇用している職員の賃金改善 支給額の算定方法 (病院・有床診) 許可病床数×4万円 (医科診療所) 1施設×18万円 (歯科診療所) 1施設×18万円 (訪問看護ST) 1施設×18万円 ※実施スケジュールその他の詳細は都道府県が定める交付要綱等をご確認下さい。 |
※日本医師会といたしましても今回の簡素化の周知に努めるばかりでなく、日本医師会ホームページのメンバーズルームに新しい届出様式に対応した説明資料を掲載するなど、引き続き届出のための支援を行って参ります。