今年は被爆から80年となり、被爆者が極端に減少する中、昨年は核兵器廃絶を訴える「日本原水爆被害者団体協議会」がノーベル平和賞を受賞した。ちなみに、医師会が深く関わる「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)も、1985年に同賞を受賞している。
共に被爆地ヒロシマにゆかりがあるが、その広島には多くの美術館や博物館があり、平和を学べるミュージアムも多い。
代表的なものは広島平和記念都市建設法に基づいて被爆10年目に建築された、丹下健三氏設計の「広島平和記念資料館」である。昨年度は過去最高の年間200万人が訪れ、被爆者の遺品等で8月6日の惨状と、被爆の実相、核兵器の脅威を伝えている。
一昨年のG7広島サミットでは、核兵器を保有し抑止力を正当化している国の立場が揺るぎかねないとの懸念があるにもかかわらず、原子爆弾を投下したアメリカだけでなく、核保有国のイギリスやフランスの首脳までもが同館を訪問し、被爆の実相を体験した。
一方、呉市の大和ミュージアムでは、多くの犠牲を払った戦艦大和の10分の1の模型や零式艦上戦闘機など、戦争兵器の展示によって戦争の悲惨さを訴えている。
また、規模は小さいが、広島県医師会館には被爆直後のカルテなど、医療関係の被爆資料を展示する被爆伝承コーナーと、IPPNWを紹介するコーナーがある。前者の展示物は、被爆者の高齢化や医療機関の継承・廃院により、貴重な被爆資料が散逸してしまうことを危惧(きぐ)し、寄贈頂いたものである。
それぞれのミュージアムでぜひ平和を学び、考えて頂きたい。
(グリーン)