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令和7年(2025年)5月5日(月) / 日医ニュース

かかりつけ医機能報告制度への協力を呼び掛け

かかりつけ医機能報告制度への協力を呼び掛け

かかりつけ医機能報告制度への協力を呼び掛け

 都道府県医師会かかりつけ医機能担当理事連絡協議会が3月26日、日本医師会館小講堂とWEB会議のハイブリッド形式で開催された。
 本協議会は本年4月より施行される、かかりつけ医機能報告制度の概要説明と、報告への協力を依頼することを目的として開催したものである。
 冒頭、あいさつした松本吉郎会長は、自身が会長に就任して以降のかかりつけ医機能に関する日本医師会の取り組みについて、2022年11月の提言「地域における面としてのかかりつけ医機能~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~」に続いて、2023年2月に「かかりつけ医機能の制度整備にあたっての日本医師会の主な考え方」を示したことで、日本医師会の意見を反映した法案が国会に上程されたこと、そして、5月に全世代社会保障法が成立したことを説明。その後に発足した厚生労働省の分科会にも、日本医師会の役員が参加し、日本医師会の主張が反映されるよう努めてきたことを強調した。
 その上で、「本制度はかかりつけ医の登録や認定などが制度化されないための報告制度であることを理解して欲しい」と述べ、本協議会を通じて、かかりつけ医機能報告制度への理解が深まることに期待感を示した。
 続いてあいさつした釜萢敏副会長は、「かかりつけ医機能報告制度は決して新たな資格等を付与するものではなく、これまで地域において医療提供に尽力されてきた先生方に手を挙げて頂くことで、地域全体としての医療提供体制をより良いものにするためのものである」と述べた。
 当日の議事は、(1)かかりつけ医機能報告、(2)かかりつけ医機能報告制度にかかる研修、(3)かかりつけ医機能報告制度―についてであった。
 (1)では、城守国斗常任理事が①報告制度の背景②基本的な考え方③報告制度の具体的な内容④実施スケジュール―等について詳説した。
 ①では、本制度が1980年代以降の旧厚生省の家庭医構想から始まっているものであり、その間、日本医師会としてもかかりつけ医機能の概念を提唱してきたことなどを報告。更に、2020年から2021年のコロナ禍を経て、一時はかかりつけ医の登録・認定制度の議論も見られたが、日本医師会の働き掛けにより、「骨太の方針2022」においては「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」と記載されたことなどを説明した。
 ②では、平時と有事(感染症発生・まん延時等)を明確に区別し、それぞれに適した対応を取ることになると説明。「平時においては、医療機能情報提供制度を改善し、患者が適切な医療機関を自ら選択できるようにするばかりではなく、各医療機関が自ら有する機能を磨くとともに他の医療機関と連携すること、また、有事への備えとして、感染症危機時に外来診療や在宅医療等を担う医療機関を平時から明確化しておくことがそれぞれ重要になる」と述べた。
 ③では、1号機能と2号機能(時間外診療・入退院時の支援・在宅医療の提供等の機能の有無)の報告が求められることや、報告は強制ではなく、あくまでも医療機関の判断によること等を説明した。
 また、制度の対象は特定機能病院等を除く約11万3200の医療機関であることを示した。
 ④では、かかりつけ医機能報告は毎年1~3月に報告が必要となる医療機能情報提供制度と併行する形で行われ、2026年の1~3月を初回として、以降、毎年行うことになるとした。
 その上で、今後については「地域の医療資源の状況を都道府県等がしっかりと把握することで、地域を面で支えるかかりつけ医機能を実現していくことが重要になる」と述べた。
 (2)では、今村英仁常任理事が2026年1月からのかかりつけ機能報告を見据えて日本医師会が本年4月から始める研修について概説。座学研修(知識)と実地研修(経験)のそれぞれが必須で、合計10単位以上の取得が必要であり、座学研修(知識)については、1号機能報告に記載できる40疾患を中心とした医学知識に加え、地域連携や多職種連携に関する内容が、また、実地研修(経験)については、日頃から行っている地域に根差した医師の活動全般が含まれるとした。
 また、具体的な研修項目については厚労科学研究班の下に三つの作業班が設けられ、内容やeラーニングシステムのコンテンツの整理を行っていることを報告した。
 その他、研修の修了申請・承認作業はMAMISを通じて行うとして、各医師会へ承認作業に関する協力を依頼した。
 (3)では、高宮裕介厚労省大臣官房参事官(医療提供体制改革担当)が、かかりつけ医機能報告における報告後の流れ等を解説。都道府県に集約された報告内容は公表されるだけではなく、外来医療に関する地域の協議の場で、不足する機能を補う具体的方策を検討する際にも用いられることなどを説明した。
 また、協議の場においては、特に在宅医療や介護連携などについて、市区町村単位、介護の日常生活圏域単位などでの協議、あるいは市区町村の積極的な関与が重要との意見を踏まえ、内容に応じて市区町村の参加を求め、各種計画の内容の検討が行われるとした。
 その上で、「医療機関からの報告を契機として、地域において医療関係者等が協議を行って、在宅医療や時間外の対応など、その地域で不足する機能を確保するための方策が検討されることで、地域医療を少しでも良くしていくことが重要」との考えを示した。
 その後の質疑応答では、事前に都道府県医師会から寄せられた質問の他、会場及びWEB参加の都道府県医師会からの質問に、城守・今村両常任理事と高宮厚労省大臣官房参事官が回答した。
 最後にあいさつした角田徹副会長は、「かかりつけ医機能報告制度自体を理解してもらうためには少し時間がかかるかも知れないが、会員の先生方にしっかりと理解して頂くためにも、都道府県医師会の皆さんには本日の内容の周知をお願いしたい」と述べ、協議会は終了となった。
 なお、協議会の模様を収録した動画は日本医師会ホームページのメンバーズルームに掲載されているので、ご活用願いたい。

◆都道府県医師会かかりつけ医機能担当理事連絡協議会
※メンバーズルーム内に入るためには日本医師会会員専用アカウントが必要となります。

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