

宮川政昭常任理事は10月22日の定例記者会見で、重度の痙性麻痺に対する希少疾病医薬品であるバクロフェン髄注(商品名:ギャバロン髄注)が、製造委託会社の破産手続きにより安定供給に支障を来す可能性が生じているとして、早急な継続的供給対策を求めた。
同常任理事は、脳脊髄疾患に由来する重度の痙性麻痺に対し、お腹の下に小さなポンプを植え込み、脊髄の周り(髄液)へ薬を少量ずつ直接届けるバクロフェン髄注療法について、「こわばり・けいれん・痛みを和らげ、姿勢や動き、睡眠を改善し、着替え・清拭・リハビリなど、日常生活や介護のしやすさを高めて生活の質を上げることを目指すもので、約3,000名の重度痙性麻痺患者さんにとって欠くことのできない治療薬である」と強調。
ギャバロン髄注は、国内では第一三共株式会社が販売しているのみだが、製造委託していたネオクリティケア製薬株式会社が破産手続きを開始したことから、従来から処方している医療機関への安定供給を優先するため、限定出荷を行っている状況であるとして、今後の安定供給に支障を来す可能性が生じていることに危機感を示した。
宮川常任理事は、(1)バクロフェン髄注療法は広範な手足のつっぱり(痙縮)に対して効果を示す唯一無二の治療法である、(2)投与を中断すると高熱、精神状態の変化、強いリバウンド症状など重篤な離脱症状が発現する、(3)治療再開後に中断前と同程度の身体レベルまで回復できるか懸念がある―ことを指摘。
日本医学会の一つでもある日本リハビリテーション医学会からも福岡資麿厚生労働大臣(当時)に「ギャバロン髄注の継続的供給に関する要望書」が提出されていることに触れ、「本剤の欠品は患者さんにとって重大かつ極めて深刻な事態であり、医療現場における大きな混乱が生じることは避けなければならない」として、第一三共株式会社に継続的供給対策を早急に構築することを求めるとともに、厚労省には、製造先が変更になる場合の迅速な事務手続き処理を要望した。
更に、現場の混乱を避けるため、在庫数の確認など第一三共株式会社厚労省への問い合わせは控えるよう配慮も求めた。
問い合わせ先
日本医師会医療技術課 TEL:03-3946-2121(代)



