閉じる

令和8年(2026年)1月20日(火) / 日医ニュース

外科医の未来を考える

勤務医のひろば

外科医の未来を考える

外科医の未来を考える

 消化器外科を中心に外科医の減少が止まらない。厚生労働省の調査によると、2022年までの20年間で消化器外科医は2割減少した。
 この傾向は今後も続き、日本消化器外科学会の試算では、10年後には現在の約1万6000人から1万2000人程度にまで減少すると見込まれている。
 更に、厚労省は、2040年にはがん手術を担う外科医が約5000人不足すると報告しており、手術待機期間の延長や地域格差の拡大は、既に目前の課題である。
 私は学生と話すことが好きで、臨床実習に来る学生と向き合う時間を楽しみにしている。価値観は多様化しているが、「命を救う責任を大切にしたい」と語る学生は少なくなく、その真摯(しんし)な姿勢に励まされることも多い。それでも彼らが外科を選ばないのはなぜか。
 私が外科を志した理由は、(後に義兄となる)心臓血管外科医の姿に憧れた、ただそれだけであった。今の学生も外科医の「かっこよさ」には魅力を感じているようだ。しかし外科が敬遠される背景には、働く環境への切実な不安が横たわっている。
 高齢化と医療の高度化により、医療の質と量は大きく増加した。その負担は若手医師に重くのしかかり、過重労働が常態化している。
 若手医師は抑うつ傾向が高いことが指摘されており、自己申告式スクリーニングでは15〜40%程度と報告された研究もある。
 緊急対応が多く、長時間勤務になりやすい外科を避けたくなるのは自然な流れである。
 だからこそ外科医療の現場では、チーム医療の徹底や分業の推進など、働き方そのものの再設計が急務である。
 また、社会保障改革においては「医療費削減ありき」の議論ではなく、大きなリスクと責任を担う診療科に対する長期的で実効性のある処遇改善が求められる。これがなければ、日本の医療提供体制の維持は困難となるのである。
 外科医が誇りをもって働ける環境を整えること。その先にこそ、若い世代が再び外科に憧れ、医療の技術革新を担う未来が開けると信じている。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる