

松本吉郎会長は3月24日、園田孝志日本病院会副会長、大田泰正全日本病院協会副会長、伊藤伸一日本医療法人協会長、松井隆明日本精神病院協会副会長、今村英仁常任理事と共に厚生労働省を訪れ、上野賢一郎厚労大臣に有料職業紹介事業に係る高額な紹介手数料や早期離職等の諸問題への緊急的な対応、ハローワーク等の無料職業紹介事業の強化を求める要望書を手交した。
会談の冒頭、松本会長は今回の要望書について、日本医師会及び四病院団体協議会でワーキンググループを設置し、取りまとめた報告書が基になっていると説明。その上で、医療分野における人材確保や育成に係る問題は年々重要性を増しているとの認識を示すとともに、有料職業紹介の利用に要する紹介手数料が、2023年度には医療・看護・介護職の合計で1000億円を超えていることを指摘。公定価格で運営される医療機関にとって、手数料の支払いは大きな負担となって経営悪化に拍車を掛けていることを訴え、その改善を求めた。
要望の内容については、松井日精協副会長が「重点要望事項」として、(1)高額な紹介手数料への緊急的対応(①紹介手数料の上限規制の導入②早期離職に係る返戻金制度の義務化と返戻水準の標準化、離職動向の更なる見える化)、(2)法令の遵守について(①転職勧奨の禁止及び適正な広告・広報の徹底②職業安定法上の手数料明示義務の実効性確保③定期的な指導監督の実施、悪質事例・トラブル事例の公表)、(3)ハローワークの新たな施策の推進と広報活動の強化―が挙げられていると説明。
(1)の①に関しては、非営利性を原則とし、公定価格で運営される医療機関では採用コストを診療価格に転嫁できず、紹介手数料として年収の20~30%を支払うことが大きな負担となっていることを強調。今後、手数料の上限規制等を導入しなければ、更に上昇する可能性があり、個々の医療機関のみならず、地域医療提供体制の存続にも悪影響を及ぼしかねないとして、その対応を要望した。
また、②に関しては、求職者が転職を繰り返すことが有料職業紹介事業者の利益につながる構造を問題視。「早期離職に対する返戻金制度を設けている事業者もあるものの、返戻率が早期から大きく低下するため、十分に機能しているとは言いがたい」として、早期離職に係る返戻金制度の義務化と、返戻水準(期間及び率)の標準化について、検討することを求めた。
(3)では、現在、医療・介護・保育分野に重点を置き、令和8年度からは全ハローワークで病院・施設へのアウトリーチ支援等が予定されていることに謝意を示した上で、若年層の医療従事者はインターネットを利用して求人情報を集めることが常態化していると推測されることから、ネットサービスの利便性の向上、機能の更なる充実や、ハローワークの利用を促す広報活動の強化を要望した。
これらの要望に対し上野厚労大臣は一定の理解を示し、国としてもできるところから適切な対応を取れるよう、引き続き検討していく姿勢を示した。
国保組合に係る補助の見直しに関する要望書も提出

松本会長は同日、近藤邦夫全国医師国民健康保険組合連合会長、佐原博之常任理事同席の下、上野厚労大臣に国保組合に係る補助の見直しに関する要望書も手交した。
医師国保組合の国庫補助率について、今後更なる引き下げが検討されていることに対し、合理的な基準を設定し、各組合の努力の結果によっては補助削減の対象とならないような対応を要望した。
会談の中で近藤全医連会長は、(1)国庫補助率が平成28年度から5年を掛けて13%にまで既に引き下げられている、(2)今後、一定の水準に該当する組合に対し、例外的に補助率を引き下げるとする法改正が検討され、その基準適用が特定の母集団の相対基準をもって行うとする案が、厚労省内で検討されている―ことに言及。
当該案が採用されると、各組合が経営努力をしても、どこかの組合が補助削減対象となることは合理的ではないとの認識を示し、補助率の削減については絶対的基準により決定されるべきであると訴えた。
また、松本会長は、医師国保組合には医師のみならず、医療機関に勤務する医療従事者やその家族も加入しており、従業員の福利厚生の面でも重要であると指摘。補助率の削減については慎重な対応を求めた。
これらの要望に関し上野厚労大臣は、相対的基準をもって判断する場合、いくら経営努力をしても、他の組合の取り組み次第で補助の削減対象とされる点の不合理性に対し一定の理解を示し、客観的な基準をもって判断される方向性で、引き続き検討していく姿勢を示した。



