教育重視 vs. 実践重視
忙しい病院でバリバリ実践経験を積んだ方が実力がつきますか?
「地方では医師の数が少なく、研修医も戦力として扱われるので、自分の腕もだいぶ磨くことができた」「プレッシャーの中で頑張ることができれば得るものも多い」と、実践重視の研修のメリットを挙げる先輩は多いです。ある程度の医師が揃っている基幹病院であっても、周囲に中核的な病院が少ないような地域では、研修医も含めて「野戦病院のような動き」が求められます。
そんな中でも、夜間当直や救急での経験が自信を深めたという声が多いです。市中病院では、上級医の管理の下で少数の研修医が救急対応することが多く、「1年目は、プライマリ・サーベイとセカンダリ・サーベイが終わった時点でアセスメントし、どういう検査が必要か指導医にプレゼンする。ゴーサインが出たら検査を行い、結果をもとに治療方針を含めてプレゼンを行う。それでゴーサインがでれば、治療も研修医が行うというのが当直の流れでした」と、救急での経験は診察・検査・診断・治療という診療の基本的な流れを学ぶよい機会になっているようです。また、「2年目になると、一般的な疾患に関しては最後の治療まで行い、結果だけを報告する形も多くなる」というように、研修医が主体的に診療を行う経験が実践力と自信を高めます。また、地域によっては、診療科の数は多いものの「どの科も1人部長のような状態」の病院もあるようです。心細いと感じるかもしれませんが、逆にベテランの医師にマンツーマンで教えてもらえる経験が貴重だったとの意見もあり、「教育プログラム」の外側にも学びの可能性があるのです。
しっかり教えてくれる指導医がいないと不安です
教えてもらいながらしっかり勉強できる病院で研修するか、自分でやっていかなければならない病院の方が実力がつくか、とても迷った」という声が複数の研修経験者から出ています。実践重視の病院には上に挙げたようなメリットが確かにあるものの、「忙しい病院に行ったら、受け持ちも多くて勉強している暇がない」「指導医の先生も忙しく、教えてもらえる雰囲気ではない」「仕事をこなすのに精一杯で、結局あまり身につかなかった気もする」といった声もあるのです。たくさんの症例を経験するだけで実力がつくわけではなく、経験を咀嚼して自分のものにするプロセスも必要です。
また、自分が進みたい分野が決まっていない状態で研修をする場合、「忙しい環境で、自分がやりたいことについて考えるのは難しかった」という意見もあり、「じっくり教えてくれる、それなりに余裕のある病院で、3年目以降について考えながら研修を受けた」というような選択が向いている人もいるでしょう。
さらに、熱心な指導医がいても、その数が少なければ「多様な指導医に触れて、技術や診察方法の幅を拡げる」ことは難しくなります。プログラムの充実だけでなく、研修に複数の医師が関わり「多くの医師と一緒に仕事ができる」ことも、重要になるのではないでしょうか。一人のスーパー指導医への憧れから選ぶことも悪くはないのですが、臨床研修を通して様々な医師に関わることになりますから、組織・チーム全体の指導力を見て判断することも大事だと考えられます。
② 大学病院 vs. 市中病院
③ ジェネラル志向 vs. 専門志向
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