FACE to FACE

古川 紀光 × 玉井 葉奈

各方面で活躍する医学生の素顔を、同じ医学生のインタビュアーが描き出します。

 

main

古川(以下、古):僕たちは、ザンビア・ブリッジ企画(以下、ザンブリ)という団体で、アフリカにあるザンビア共和国のマケニ村という無医村に、診療所を建設するために活動しています。

玉井(以下、玉):古川くんは現在のザンブリの代表に誘われて活動に参加したと聞きました。

:はい。僕はもともと国際協力に関心があったわけではなく、小学生の頃に、当時住んでいたスイスの学校で、ガーナにある姉妹校にお金を送る経験をしたことがある程度でした。しかしザンブリに参加してみて、金銭的な支援以外にも国際協力の方法があることを知り、だんだん活動にのめり込んでいきました。

:私も小学生の頃の体験が原点にあります。総合的な学習の時間に、モザンビークの支援をしているNPOの方にお話を伺ったことが、国際協力に関心を持ったきっかけでした。その後、高校生の時に祖父が倒れ、病院に通ううちに、人の役に立ち、さらに国際的な活動にも参加できる医師という仕事に憧れるようになりました。

:ではザンブリは、玉井さんにとって昔からの夢とも言える活動なのですね。

:はい。しかし、全てが理想通りに進むわけではないという厳しさも実感しています。現地の方に頼っていただけると嬉しい反面、こちらの支援に依存されてしまうと、問題の根本的な解決にはならないのが難しいところです。

:そうですね。現地の方に当事者意識を持ってもらうことが大切だと感じます。

:私は実際に現地に滞在してみて、ただ困っていることを聞くだけでは協力的になってもらえないと気付きました。支援する側とされる側という関係ではなく、人同士の絆を深めることが大切だと感じましたね。

:確かに、表面的な付き合いだけでは見えてこないものもあると思います。僕は活動に携わるなかで、人の言葉の真意を探ったり、一歩先の未来に何が起こるのかを考えたりすることが大事だと気付かされました。

:他にも、協賛企業の方や支援してくださる方など、様々な立場の方と関わることができるのは、貴重な経験ですよね。

:そうですね。僕も活動を通じて、自分の視野がかなり広がったと感じます。ザンブリに興味を持ってくれる後輩も増えてきたので、診療所建設という目標を達成した後も、同じような経験ができる場を維持していけたらと思っています。

:「地方だと情報格差もあるし、人と交流する機会も少ない…」と感じる人もいるかもしれません。ですが、私は活動に参加したことで、逆に身近なところから学べることもたくさんあると感じるようになりました。例えば私は、大学の小児循環器の先生が心疾患の子どもたち向けのキャンプを企画したり、就労支援をしたりしているのを見て、医師の仕事は病気の治療だけではないということに気付きました。それがきっかけで、私も医師になったら積極的に地域に出て、住民の方々の生活をより良くするような活動に携わってみたいと思うようになったんです。

:患者さんの社会復帰支援や精神的なサポートも、医師の重要な仕事ですよね。僕も大学で学ぶうち、思っていたより医療って幅広いんだと感じるようになりました。活動に参加することにとらわれず、まずは身近なことに興味を持ってみるのも大事かもしれないですね。

:そう思います。積極的に学ぶ姿勢を持って、色々なことに目を向けてみてほしいですね。

古川 紀光(国際医療福祉大学3年)
1998年東京都生まれ。順天中高卒。児童期をスイスで過ごし、インターナショナルスクールに通う。高校の先輩に誘われ、大学1年生からザンビア・ブリッジ企画の活動に関わる。活動を通じて、様々な方面で活躍される方のお話を聞き、刺激を受けている。将来の夢は、子どもたちに笑顔を届けられるような医師になること。

玉井 葉奈(愛媛大学4年)
1996年生まれ。松山東高校卒。小学校の授業を機に国際協力に関心を持つ。大学入学後、IFMSA-JapanやJaih-sなど学生団体で活動。また、ザンビア・ネパール・ミャンマーなど途上国の農村や医療現場を訪れる。現在はザンビアの農村に診療所を建てるザンビア・ブリッジ企画の日本国内での業務を担当する。

※国際医療福祉大学成田キャンパスにて撮影。