国民医療を守るための総決起大会(主催:国民医療推進協議会、協力:東京都医師会)が昨年12月9日、都内で開催された。
大会には、約2000名(国会議員85名、代理100名、計185名含む)の参加者が集い、参加者全員の総意として、「国民に必要かつ充分な医療・介護を提供するための適切な財源の確保」と「国民と医療機関等に不合理な負担を生じさせている医療等に係る消費税問題の抜本的な解決」を求める決議が全会一致で採択された。
当日は、今村定臣日医常任理事の司会で開会。冒頭、国民医療推進協議会長としてあいさつした横倉義武日医会長は、医療経済実態調査の結果でも明らかなように、多くの病院・診療所が苦しい経営状況に置かれている中で、平成28年度の診療報酬改定が厳しい内容となれば、医療現場は疲弊し、国民に必要かつ十分な医療・介護を届けることがかなわなくなることを危惧した。
その上で、「効率的かつ質の高い医療提供体制や地域包括ケアシステムの構築に向けては"適切な財源の確保"が重要であり、患者や医療機関等に不合理な負担を強いている"医療に関する消費税問題"も早急に抜本的な解決を図らなければならない」と述べ、「国民の生命と健康に最重点を置いた政策の実現を政府に求めていくことこそ、本協議会が負うべき使命である」との考えを示した。
協力団体である尾﨑治夫東京都医師会長のあいさつの後、来賓として、高村正彦自民党副総裁、古屋範子公明党副代表があいさつを行った。
中川・今村両副会長が大会の趣旨を説明
引き続き、本大会の趣旨を日医の中川俊男・今村聡両副会長が説明した。
中川副会長は、これまでの診療報酬改定を振り返り、平成14年度から4回連続のネットマイナス改定の結果、地域医療は疲弊し医療崩壊が深刻化したと指摘。次の改定でネットマイナス改定になることは絶対にあってはならないと強調した。
また、財務省に対しては、「過去の教訓を学ぶことなく、社会保障費の機械的削減を断行すれば、社会保障制度、国民皆保険は再び崩壊の危機にさらされ、国民からの信頼は失われる」として、過去の轍(てつ)を踏むことのないよう警鐘を鳴らした。
その上で、「医療関係者には国民の健康と生命を守る責任がある。国民に寄り添って、心の通った医療を行っていくために、(1)社会保障費の機械的抑制に反対(2)診療報酬ネットプラス改定を要求─する。一致団結して頑張ろう」と呼び掛けた。
今村副会長は、「医療に係る消費税問題」の解決へ向けて残る主な課題として、(1)5%時までの上乗せ補填(ほてん)が不十分であったことによる、「全体の財源の補填(ほてん)不足」(2)診療報酬への上乗せの仕組みでは、「設備投資など、個々の医療機関の仕入れ構成の違いに対応できないこと」─の2点を挙げた。
(1)については、平成元年の3%導入時、平成9年の5%への引き上げ時に生じた補填(ほてん)不足は、日医の推計によれば毎年約2600億円を医療界全体で負担し続けている状況にあること、(2)については、厚生労働省の検証結果報告でも「補填(ほてん)状況にばらつきは見られる」として改めて確認されていることをそれぞれ説明。税率10%への引き上げ時、平成29年4月までの1年あまりは、「抜本的解決方法を決める1年」であるとして、「医療界が一丸となって行動し、国民にも理解を求めながら、医療の消費税問題に決着を付けよう」と述べた。
続いて、参加団体を代表して、国民医療推進協議会の副会長である山科透日本歯科医師会長、山本信夫日本薬剤師会長、坂本すが日本看護協会長がそれぞれ決意を表明。その後、西澤寛俊全日本病院協会長が、本大会の決議案を朗読し、決議案は満場の拍手をもって採択された。
最後に、松原謙二日医副会長の掛け声の下、参加者全員が起立して、「頑張ろうコール」を行い、会は終了となった。