「日本医師会テレビ健康講座─ふれあい健康ネットワーク」の収録が昨年12月19日、長崎県医師会並びにテレビ長崎の協力の下、テレビ局内のスタジオで行われた。
今回の番組では、長崎県が全国に先駆けて導入した、病院と診療所などの医療機関が患者の同意を得た上で診療情報を共有するICTネットワーク『あじさいネット』を取り上げ、その仕組みを県民に分かりやすく解説するものとなった。
前半は、「あじさいネット」を利用し、在宅医療の現場で患者やその家族にタブレット端末で説明する奥平定之奥平外科医院長の活動を紹介。後半では、髙山隼人長崎医療センター救急救命センター長から、離島の医療機関と長崎医療センターをICTで結び、救急患者の画像を基に、病院の専門医と離島の医師が治療方針を相談している模様が、森崎正幸長崎県産婦人科医会長からは、診療所だけで対応が不可能な妊産婦の情報を搬送先の病院と共有することができる長崎県周産期支援システム「すくすく」が紹介された。
システムの構築に関わってきた牟田幹久長崎県医師会常任理事は、「県下30の病院、約250の診療所が『あじさいネット』で診療情報を共有しており、今ではなくてはならない情報共有ツールとなっている」と説明した上で、「医療のICT化はツールであって目的ではない。患者と医療関係者の顔と顔が見える、心と心がつながるような医療を目指すための一つの道具として重要である」とした。
番組に出演した蒔本恭長崎県医師会長は、導入11年目を迎える『あじさいネット』によって、現在では、患者の情報が入院先の勤務医と退院後の地域のかかりつけ医とで共有され、常に更新された最新の情報を基に患者の診療ができているとした上で、「安全性を保つためセキュリティを万全にし、患者がより良い医療サービスを受けられるようシステムの更なる進化を図っていきたい」とした。
同じく、番組に出演した石川広己常任理事は、超高齢社会を迎えた日本の医療分野において、今後ICT化は不可欠なものであり、全国的に見ても進んでいる長崎の事例は大変参考になるとし、日医としても、ICTを活用した医療情報サービスの向上に取り組んでいきたいとした。
なお、番組は、1月3日(日)、テレビ長崎で30分番組として放送された。