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平成28年(2016年)3月24日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

労災・自賠責委員会答申について

 石井正三常任理事は、3月23日の定例記者会見で、労災・自賠責委員会が、会長諮問「超高齢社会に向けた労災保険指定医療機関の役割(労災保険)」及び「自賠責診療のこれからについて(自賠責保険)」を受け、8回にわたり議論を重ねた上で答申書を取りまとめ、2月25日に茂松茂人委員長(大阪府医師会副会長)から横倉義武会長に提出したことを明らかにした。

 答申は、「はじめに」、(1)労災保険・自賠責保険に係る課題、(2)労災保険に関して、(3)自賠責保険に関して、「おわりに」―からなっている。

 (1)では、労災保険・自賠責保険の制度に対して十分な研修体制がないことが問題であると指摘するとともに、医学生、研修医、一般の医師に向けた教育、研修が必要であるとして、研修の際に活用できる会員向けの研修用ツール(スライド)を添付資料として掲載している。

 (2)では、労災保険に係る各種の問題として、審査上の問題、精神疾患、脳・心臓疾患、アフターケア制度、労災かくし、東京電力福島第一原子力発電所事故での作業従事者への対応等について触れている他、諮問事項である「超高齢社会に向けた労災保険指定医療機関の役割」については、高齢労働者を取り巻く労働環境に配慮した労災補償の対象疾病の見直しや認定要件の運用についての検討が必要であると提言している。

 (3)では、自賠責診療費算定基準(いわゆる新基準)については、昭和59年の自賠責審議会の答申に「全国で定着化した段階で算定基準としての制度化を図る」と明記されていることから、第一段階として労災診療費にならい、担当局長・課長通知による算定基準の明示を目指すことが現実的な対応であるとした上で、具体的に5つの視点(1.制度化の方向性2.制度化のタイミング3.算定基準の内容4.算定基準の適用範囲5.医業類似行為)について明示している。

 また、山梨県が2月1日より新基準での運用を開始したことで、すべての都道府県が新基準により実施することになったことを受け、今後、自賠責審議会等で日医の考えを示せるよう、5つの視点を軸とした「新基準の制度化へ向けての骨子」を巻末に掲載している。

 最後に、石井常任理事は、「本答申を踏まえ、自賠責新基準の制度化に向けて、更に働き掛けを行っていきたい」と述べた。

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