第136回日本医師会臨時代議員会が3月27日、357名の代議員(定数359名)出席の下、日医会館大講堂で開催された。 当日は、上程された「第1号議案 平成27年度日本医師会会費減免申請の件」が賛成多数で可決決定された他、各ブロックから提出された代表質問・個人質問に対して、日医執行部より回答を行った(会長あいさつ等、臨時代議員会の詳細は『日医雑誌』5月号別冊をご参照下さい)。 |
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冒頭のあいさつで横倉義武会長は、わが国の医療システムが、世界が経験したことのない高齢社会を"安心"へと導く世界モデルとなるよう、今後更に、"かかりつけ医"を中心とした「まちづくり」、変革期を担う人材育成の視点に立った「人づくり」、そして、医療政策をリードし続ける強い医師会への「組織づくり」に注力していく決意を表明した。
「まちづくり」に関しては、医療提供体制の核となる地域包括ケアシステムを構築していくためには、"かかりつけ医"を要とした、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供されるためのネットワークづくりが不可欠であり、その実現のためにも地域医師会の果たす役割が重要になるとして、継続した支援を行っていく考えを示した。
「人づくり」に関しては、「医療界が団結して、真摯(しんし)に取り組んでいかなければならない」とした上で、新たな専門医の仕組みについて触れ、その見直しは乱立する専門医に対する国民の信頼に応え、医師のプロフェッショナルオートノミーに基づき行うとされたものであり、日本専門医機構の役割は、あくまでも学問的・学術的な見地から専門医の認定評価の標準化を行うことにあると指摘。「制度の急激な見直しによる地域医療の混乱で、最終的に不利益を被るのは患者であり、国民である。日医は医療提供体制全般について責任を持つ立場から、引き続き、地域医療と整合した制度設計となるよう、その見直しに強く関与していくとともに、日本専門医機構の組織運営の透明性の確保に向けても努めていきたい」と述べた。
「組織づくり」に関しては、300万人を超える医療従事者の更なる活躍の場の整備と、"信頼と連帯"に基づく医療制度を堅持し続けていくことは、わが国唯一の医師の職能団体である日医が負うべき責務であると強調。今後も「日本医師会綱領」を旗印として、都道府県・郡市区等医師会の協力の下、更なる組織率の向上を図ることで社会への発言力を強めていくとともに、「医師資格証」の更なる利活用等により、IT時代における地域医療連携の在り方をリードし、そこから得られたデータを活用していくことで、地域の実態の現状把握と政策効果の検証等を行い、エビデンスに基づいた医療政策を広く提言し続けていくとした。
最後に、横倉会長は、未曾有(みぞう)の被害をもたらした東日本大震災の発生から、この3月で丸5年が経過したことに言及。被災された全ての方々に対し、改めて哀悼の意を表した上で、被災者健康支援連絡協議会等と共に、中長期的な医療支援を見据えたコーディネートと連携体制を築く中で、今後も被災地域の復興に寄与していく考えを示した。
続いて、「日本医師会・医療事故院内調査費用保険」の創設に伴う措置として行われた「平成27年度日本医師会予算補正」については今村聡副会長が、20の具体的な活動を重点課題とした「平成28年度日本医師会事業計画」については中川俊男副会長がそれぞれ説明。「平成28年度日本医師会予算」に関しては、今村副会長が、「予算編成方針を変え、予算規模をより実態に近づけたものとしている」とした上で、資料を基にその内容を概説した。
また、橋本省財務委員会委員長からは、財務委員会(1月15日開催)における平成28年度日本医師会事業計画案及び予算の素案に関する審査の経過及び結果の報告が行われた。
引き続き、「第1号議案 平成27年度日本医師会会費減免申請の件」が上程され、今村副会長が、①適用者は合計1万3693名で、減免申請金額は4億7202万7千円であること②平成23年度から継続してきた東日本大震災による被災会員に対する減免措置は平成27年度をもって終了すること─など、提案理由を説明。表決に移り、全会一致で可決決定されることになった。
その後、各ブロックからの代表質問、個人質問に対して日医執行部より行った回答の概要は以下のとおりとなっている。
なお、当日は、議事に先立って、去る2月9日に逝去された坪井栄孝元会長の功績をたたえ、出席者全員により黙とうが捧げられた。