日医定例記者会見 8月3・10日
横倉義武会長は、かかりつけ医以外を受診した場合における定額負担の導入についての議論が政府で進められていることを取り上げ、反対する考えを示した。
同会長は、日医がかかりつけ医を持つことの重要性について、これまでも主張してきたことを改めて説明した上で、「多くの先進国では薬剤費は徴収しているものの、外来受診には自己負担がなく、その代わりに、受診を予約制にするなどして、医師が患者数をコントロールしている。わが国では応招義務もあり、医師が患者数を制限するのではなく、自己負担によって外来受診を自らの意思で決め、患者の主体性に委ねているのが実情」と述べ、「医療が必要な患者に対して、自己負担を上げることにより、受診抑制につながるようなことがこれ以上あってはならない」と強調した。
また、昨年12月に公表された「経済・財政再生計画改革工程表」で、「かかりつけ医の普及の観点から、かかりつけ医以外を受診した場合における定額負担を導入することについて、関係審議会等において検討し、2016年末までに結論」と明記されたことに対しては、「かかりつけ医の普及の観点からであっても、社会保障負担においては、患者から更なる一定の負担を求めるべきではない」「受診時定額負担を検討する前に、高齢者の金融資産や所得などの多寡に応じた負担を検討すべきであり、例えば高齢者の薬剤負担のあり方など、まずは社会保障の理念に基づき、応能負担の議論を先に行うべきである」と主張。
その上で、横倉会長は、「平成26年度の診療報酬改定で、かかりつけ医の評価として地域包括診療料・地域包括診療加算が新設されるなど、かかりつけ医普及のための制度的裏付けは始まったばかりである。現段階においては、まず国民一人ひとりが、かかりつけ医を持つよう普及に努めるべきであり、日医としては地域住民から信頼されるかかりつけ医をしっかりと養成していきたい」と述べた。
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