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平成29年(2017年)3月20日(月) / 日医ニュース

「平成29年度介護報酬改定等」「地域支援事業の推進」等について解説

「平成29年度介護報酬改定等」「地域支援事業の推進」等について解説

「平成29年度介護報酬改定等」「地域支援事業の推進」等について解説

 都道府県医師会介護保険担当理事連絡協議会が3月1日、日医会館大講堂で開催された。
 当日は、「平成29年度介護報酬改定等」「地域支援事業の推進」「地域支援事業を活用した『まちづくり』への期待」の3つの議題に対して6つの講演が行われた。

地域支援事業への積極的な関与を―横倉会長

 協議会は、松原謙二副会長の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、平成30年度より全ての市区町村において実施することとなった地域支援事業について、「郡市区等医師会の積極的な関与と都道府県医師会による支援が必要不可欠である」と強調。「地域で暮らす誰もが必要な医療・介護を受けられるよう、かかりつけ医や都道府県・郡市区等医師会が行政と共に車の両輪となり、積極的に『まちづくり』に取り組んで欲しい」と述べ、都道府県医師会に対して改めて積極的な取り組みと郡市区等医師会への支援を要請した。
 また、3月12日に改正道路交通法が施行されることに伴い、日医にも多数の問い合わせが寄せられていた、認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書の作成について、この度、『かかりつけ医向け 認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き』(以下、『手引き』)が完成したことを報告した。
 続いて、鈴木邦彦・松本純一両常任理事の司会の下、「平成29年度介護報酬改定等」「地域支援事業の推進」「地域支援事業を活用した『まちづくり』への期待」の3つの議題に対して6つの講演が行われた。
 鈴木健彦厚生労働省老健局老人保健課長は、「平成29年度介護報酬改定等について」と題して講演を行った。
 鈴木課長は、まず、介護職員の処遇改善のために行われた平成29年度の介護報酬改定について、事業者による昇給と結び付いた形でキャリアアップの仕組みを構築することを目的として、手厚い評価が行えるよう新たな区分を設けるとともに、①経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み②一定の基準に基づき定期的に昇給を判定する仕組み―などのキャリアパス要件を新設することになったと説明した。
 また、在宅医療・介護連携推進事業と地域リハビリテーションの推進に関しては、実施状況等にも触れながら、その目的等について改めて解説を行った。
 「地域支援事業の推進」では、認知症施策の取り組みについて、渡辺憲鳥取県医師会副会長が、「高齢者の自動車運転と認知症をもつ人を地域で支える取り組み~改正道路交通法への対応を中心に~」と題して講演し、まず、認知症をもつ高齢者の特徴について説明した。
 また、平成27年に免許更新等で認知機能検査を受検した高齢者約163万人のうち、約5・4万人(3・3%)が第1分類(認知症の恐れあり)と判定されたとの調査結果を報告。改正道路交通法の施行後には、毎年5万人以上の高齢者に対して、認知症の診断書の作成を求められることになると指摘するとともに、日医が作成した『手引き』を用いて、具体的な診断書の作成手順等について解説した。
 更に、「専門医だけでなく、日常生活等を把握しているかかりつけ医が中心となって、高齢者が地域において社会活動を継続できるよう、支援する必要がある」として、かかりつけ医の役割の重要性を改めて強調した。

3県医師会から先進的な取り組みを紹介

 続いて、熊本・埼玉・福井各県医師会が、「都道府県医師会における先進的な取り組み」について、それぞれ講演を行った。
 「熊本県における地域リハビリテーションの取り組み」については、米満弘之医療法人社団寿量会熊本機能病院会長・総院長に代わって、林邦雄熊本県医師会理事がその概要等について解説した。
 熊本県における地域リハビリテーションの推進体制の特徴は、「地域密着リハビリテーションセンター」を設置したことにあると説明。「同センターは、介護予防の取り組みを地域センターと連携しながら総合的に支援する役割を担っているが、平成28年熊本地震を契機に、通常の活動に加えて災害時のリハビリテーション活動への協力体制が求められるようになり、その役割が変わりつつある」との認識を示した。
 また、熊本地震発生時における大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(JRAT)活動において立ち上げた「熊本県復興リハビリテーションセンター」についても触れ、「その役割が大変重要であった」と報告した。
 斉藤正身埼玉県医師会地域包括ケアシステム推進委員会地域リハビリテーション担当副委員長は、「埼玉県における地域リハビリテーション支援体制」について、平成17年まで県の事業として行われていた地域リハビリテーション推進事業を、平成23年の東日本大震災をきっかけとして、地域包括ケアの実現に向けた地域リハビリテーション支援体制として再構築することになった経緯と背景を説明。
 地域リハビリテーション推進事業の主な活動である介護予防については、地域包括支援センターの業務と重複していることから、「支援体制の見直しを行い、地域リハビリテーション・ケアサポートセンターと協力医療機関等が連携をとり、協力医療機関が、人材派遣や相談窓口、地域ケア会議、介護予防等の支援を行う人材を市町村の地域包括支援センターに派遣するシステムにしている」と、その特徴を述べた。
 池端幸彦福井県医師会副会長は、「在宅医療・介護連携推進事業に関する福井県医師会等の取り組み」について、福井県医師会等が行政と共に実施している取り組みを紹介。
 福井県では、認知症対策への新たな取り組みとして、①認知症検診の定着と認知症予防施策②医師等の人材育成と医療機関との連携体制の確立―の推進を柱として掲げており、「福井県サポート医連絡協議会」を設置するなど、地域医師会との密接な連携の下、多職種協働の研修体制をとりながら医療人材の育成に努めているとした。
 また、県庁と県医師会が連携し、高齢者が入退院する際に病院とケアマネジャー間でスムーズに引き継ぎをするための「福井県版退院支援ルール」は、県全域で適用するものとしては全国初の取り組みであること等を説明した。

行政と医師会(かかりつけ医)が 車の両輪となり住民を支えるべき―鈴木常任理事

 「地域支援事業を活用した『まちづくり』への期待」について説明を行った鈴木常任理事(写真)は、まず、診断を行った認知症患者が、その後に自動車運転事故を起こした場合の医師の責任について、「通常、医師の刑事責任が問われることはない」と改めて強調するとともに、診断書の作成に関しては、「日医で作成した『手引き』をぜひ活用して頂きたい」と述べた。
 また、今後の医療・介護の提供体制とまちづくりについては、高齢者の医療と介護の一体化は地域包括ケアシステムそのものであり、その担い手はかかりつけ医であると指摘。「地域包括ケアシステムでは、行政と医師会(かかりつけ医)が車の両輪となり、住民を支えていくことが重要である。その担い手であるかかりつけ医を養成するのが、昨年から開始した『日医かかりつけ医機能研修制度』である」として、改めて本制度への理解と協力を求めた。
 最後に、中川俊男副会長が、「平成30年度は、診療報酬と介護報酬の同時改定となるが、地域支援事業を活用した『まちづくり』が進み、医療と介護が全国的に過不足なく提供できる体制が整備されるよう、都道府県・郡市区等医師会の更なる支援と協力をお願いしたい」と総括して、協議会は閉会となった。

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