横倉義武会長は昨年12月11日、財務省を訪れ、麻生太郎副総理兼財務大臣と平成30年度予算編成に向けて会談を行い、次期診療報酬改定をプラス改定とすることを強く求めた。
当日の会談で横倉会長は、資料を基に、①国民医療費は2011年の推計値より実績が約3兆円下回っている②満20歳以上の男女4000人を対象とした調査によると、受けた医療の満足度と日本の医療全般の満足度は、いずれも上昇している③持続可能な社会保障の実現のため、医療側からもさまざまな改革を推進している④直近の医療従事者数は常勤換算で2002年から50万人増えているにもかかわらず、2012年度を起点とした5年間の動向を見ると、賃金や物価よりも診療報酬本体の水準は低く抑えられている⑤医療従事者に対して安倍晋三内閣総理大臣が来春の労使交渉で要請した3%の賃上げを行うとすると、国庫ベースで1538億円が必要となる―ことなどを説明。
更に、横倉会長は、医療経済実態調査及びTKC医業経営指標に基づく経営動態分析の結果も示し、医療機関の窮状を訴えるとともに、「前回の改定率では十分でなかったことが今回の結果からも明らかだ」として、前回を上回る改定率の確保を求めた。
また、調剤薬局、特にチェーン薬局の損益差額率、利益余剰金(内部留保)、配当金が大幅なプラスとなっていることなどを問題視。その原因として、処方日数が長くなるほど、段階的に高くなり、また剤数が増えると高くなる薬局の調剤料のような仕組みが医科の院内処方にはないことを挙げ、この差を縮小すべきとした。
加えて、医科・歯科・調剤の配分が1:1・1:0・3になっていることにも言及。「医科は学会等から中医協医療技術評価分科会に約800件の医科の新たな技術が提案されるが、調剤には新たな技術は少ないことから、改定率の配分と門前・チェーン薬局の調剤報酬を適正化し、病院薬剤師の業務を評価することも検討すべき」と主張した。
その他、遠隔診療に対する財源についても触れ、「その充実のための財源は、財政中立ではなく、政府の成長戦略として別途手当てを用意すべきある」とした。
これに対して、麻生大臣は一定の理解を示した上で、「この件については、現在、最終決定に向けた段階にきており、安倍総理とも相談しながら、改定率を決定したい」と応じた。
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