石川広己常任理事は、2月28日の定例記者会見で、会内の救急災害医療対策委員会が横倉義武会長からの諮問「1.地域の救急災害医療におけるかかりつけ医の役割~地域包括ケアシステムにおける災害医療を中心に~」「2.JMAT活動の課題と対策~コーディネーター機能を中心に」について報告書を取りまとめ、2月20日、有賀徹委員長(労働者健康安全機構理事長)から横倉会長に提出したことを報告し、その概要を説明した。
本報告書は、2つのワーキンググループ(WG)〔(1)地域包括ケアと災害医療に関するWG、(2)JMAT活動に関するWG〕での議論を経てまとめられたものである。各WGの報告の内容は、(1)が、1.地域包括ケアシステムにおける災害医療、2.多職種連携と災害時の医療統括体制~被災地で、「災害支援を受ける側」(受援側)としての役割、3.被災地の医師、病院・診療所、郡市区医師会は何をすべきか―から、(2)が、1.JMATの理念、役割の再確認、2.「統括JMAT」(先遣JMAT)、3.研修、4.JMAT携行医薬品リスト、資器材リスト―から、それぞれなっている。
(1)では、2025年に向けた地域包括ケアシステム構築の中に防災の考えを取り入れたもので、災害に耐え、可能な限り早急に復旧することができるレジリエントな地域包括ケアシステムの構築を目指して検討を行い、災害時の地域包括ケアシステムを守るために、医師会活動を軸として、かかりつけ医と救急災害医療関係者との連携を強化することが提案されている他、災害時のかかりつけ医機能を支える医師会と行政との連携、被災地の郡市区医師会が担う役割等が図示されている。
(2)では、災害発生直後の医療支援について、現地が混乱している状況下での交通整理を課題として、JMATを中心に統括していくことを提案。また、災害時、JMATの派遣の必要性や被災地で求められる機能、派遣の量などの情報を収集・把握して発信する「先遣JMAT」を含め被災地の医師会と連携しながら現地で情報の把握・評価を行い、統括役を担う「統括JMAT」を創設することを提言している。
更に、「JMAT活動とは、被災地医師会と全国の医師会との『協働』である」とのコンセプトの下、JMATを被災地の都道府県が編成する「被災地JMAT」と被災地の外から派遣される「支援JMAT」として考えるべきとしている他、日医の役割を明確化するため、日医災害対策本部にJMATの派遣から活動支援までを担う「JMAT本部」を設置することを求めている。
同常任理事は、最後に、JMATが被災地に携行すべき医薬品リスト、資器材リストを現在制作中であることを明らかにするとともに、報告書が取りまとめられたことを受けて、JMAT活動に関するWGを再び開催し、JMATの研修プログラムの内容を具体的に検討していく考えを示した。
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