1月9日 定例記者会見
横倉義武会長は、今年初めての定例記者会見に臨み、新年に当たっての所感を述べた。
同会長はまず、昨年、西日本を中心とする記録的な豪雨や近畿地方を中心に甚大な被害をもたらした超大型台風、北海道胆振地方で発生した地震など、さまざまな災害が相次いだことに触れ、JMATの派遣や支援金において、会員を始め多くの方々に協力して頂いたことに対し、謝意を表した。
その上で、統一地方選挙と参議院議員選挙が行われる12年に一度の選挙の年である本年は、重要な案件が目白押しであるとし、「困難な問題に対して、スピード感としなやかさを兼ね備えながら臨機応変に改革していく」と述べた。
更に、人生100年時代に向けて、全世代型社会保障への改革が進められる中、昨年末に成立した成育基本法により少子化対策を一層強化することで妊娠期から成人までを更に支援するとともに、働き方改革を踏まえ、働く世代への産業保健等の充実を図り、健康寿命の延伸によって高齢者まで切れ目のない社会保障を構築する重要性を強調。健康長寿社会の実現には、かかりつけ医が予防・健康づくりに積極的に関わることが必要であるとして、日医としても国民の予防・健康づくりに更に取り組んでいくとした。
また、政府が推進している「Society 5.0」を踏まえ、急速に進歩する人工知能やICTといった新しい技術を安全を担保しながら医療にも取り入れていくべきとの認識を示すとともに、Society 5.0時代の医療の在り方について、「医師会将来ビジョン委員会」など、会内での議論を深めていくとした。
3月末までに政府が取りまとめる予定の医師の働き方改革に関する改革案においては、「地域医療の継続性」と「医師の健康への配慮」の両立の観点から議論することが肝要であるとした上で、「勤務環境改善により労働時間の短縮に取り組むが、上限時間の設定次第では地域医療確保に必要な労働時間との間に乖離(かいり)が生じ、地域医療への影響が懸念される。『連続勤務時間制限』『勤務間インターバルの確保』『代償休暇』の義務化等を条件に、この乖離した部分を考慮した対応が必要である」との考えを示した。
更に、4月の統一地方選挙について、「選挙を通じて地域において医療政策が浸透するよう期待している。統一地方選挙において保守が割れたり、市民の理解が得られないと、その後に続く参議院議員選挙に直結する恐れがある」と述べた他、7月の参議院議員選挙においても、社会保障に造詣(ぞうけい)の深い議員が多く当選することに期待を寄せた。
今後については、消費税率10%引き上げ後の社会保障の在り方の議論が必要であり、人生100年時代に向けて国民全体で合意の上、納得を得られる負担と給付を導き出すべきとする一方、11月頃から本格化する予算編成に向け、「国民が必要とする医療が過不足なく提供され、医師を含む医療関係者が働き方改革に基づいて健康に働ける環境整備を進めることができる人件費の在り方を示し、政府・与党に理解を求めていく」との意向を示した。
横倉会長は、最後に、「急激な環境の変化の中で、変えてはならない医療の本質の部分と、技術の進歩に応じて変えていかなければならない部分をしっかりと峻別し、医師会が先頭に立って政策を推進していく」との抱負を述べた。
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