令和元年(2019年)7月5日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き3.糖尿病』を作成
江澤和彦常任理事
日医定例記者会見 6月4日
『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き』については、日本老年医学会の協力の下、2017年9月に総論編「1.安全な薬物療法」、2018年4月に「2.認知症」を発行しているが、今般「3.糖尿病」を作成したことから、江澤和彦常任理事がその内容を説明した。
同常任理事は、高齢者糖尿病の特徴として、①低血糖の症状が出にくいため重症低血糖を起こしやすい②認知機能障害、フレイル、ADL低下等の老年症候群をきたしやすい―と説明。その治療は、非高齢者の糖尿病と同様に食事・運動・薬物療法を基本として、認知機能やADL等を考慮した個別の設定が必要であり、「適切な治療が臓器合併症予防を得るとともに、生活機能やQOLの維持・向上に加え、健康寿命の延伸及び介護予防に効果が期待される」と述べた。
これらのことを踏まえ、糖尿病編では、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標設定」として、目標値の考え方を示すとともに、その際に必要な認知機能とADLに着目した『認知・生活機能質問票(DASC―8)』の他、食事療法・運動療法、シックデイ対策等について掲載していることを紹介。
更に、薬物治療を行う場合には、医薬品の有効性に加えて、副作用、相互作用、及び年齢による薬物動態/薬力学的変化などを踏まえた適正処方が求められるが、特に高齢者では、多剤併用や服薬アドヒアランスの低下の課題もあり、最適な薬剤の選択や、必要最小限の投薬を考慮する必要があると指摘。その参考となる資料として、今回は「高齢者糖尿病の薬剤使用の注意点」をまとめた他、日本老年医学会の「高齢糖尿病患者に特に慎重な投与を要する薬物リスト」を基に、日本糖尿病学会の監修も得た薬剤の一覧表として、「高齢糖尿病患者の治療において注意を要する薬物と推奨される使用法」を掲載しているとした。
その上で、同常任理事は本手引きを多くのかかりつけ医が患者の服薬管理を行う際の参考資料として広く活用することで、多剤併用による副作用の発現リスクを減らし、より質の高い医療提供につながることに期待感を示すとともに、「今後は、"脂質異常症"と"高血圧症"についても手引きを作成していきたい」と述べた。
※なお、本手引きは、日医ホームページ(/dl-med/chiiki/tebiki/R0105_shohou_tebiki3.pdf)からダウンロードが可能となっているので、ぜひご活用願いたい。
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