閉じる

令和元年(2019年)7月20日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「経済財政運営と改革の基本方針2019」(案)及び「成長戦略フォローアップ案」等に対する日医の見解示す

日医定例記者会見 6月19日

 横倉義武会長は、6月11日の経済財政諮問会議に原案が提示され、18日の自民党政調全体会議・経済成長戦略本部合同会議で示された「経済財政運営と改革の基本方針2019」(いわゆる「骨太の方針2019」)の案と、5日の未来投資会議に示された「成長戦略フォローアップ案」等に対する日医の考えを説明した。
 まず、「骨太の方針2019」案の疾病・介護の予防の考え方については、「人生100年時代に向けて、社会保障を持続可能なものとするために、日医も予防・健康づくりを積極的に推進しているところであり、日医の考え方が反映されたものと考えている」と評価。
 先進・優良事例の全国展開として挙げられている、県・国民健康保険団体連合会・医師会が連携して進める埼玉県の糖尿病など生活習慣病の重症化予防の取り組みに関連し、昨年9月に日医及び日本糖尿病対策推進会議・埼玉県・埼玉県医師会・埼玉県糖尿病対策推進会議との間で、「かかりつけ医の糖尿病診療の推進と重症化予防に向けた連携協定」を締結したことを紹介。今後も、こうした取り組みの横展開によって効果的な重症化予防を推進し、国民の健康寿命の延伸につなげていくとするとともに、「各地域で医療・介護に何が必要かを検証し、ボトムアップによりそれが国の政策に反映され、各地域にフィードバックされる『地域から国へ』という考え方は、私が会長就任以来掲げている会務運営に臨む基本姿勢の一つ。こうした日医の取り組みが、政府の『骨太の方針』にも反映された」と述べた。
 一方、懸念事項として、(1)地域別診療報酬、(2)地域医療介護総合確保基金創設前から存在している事業も含めた大幅なメリハリづけ―の2点を指摘。
 (1)に関しては、地域別診療報酬の導入が懸念された奈良県において、奈良県医師会と奈良県知事との間で政策協定(2018年12月)が結ばれ、「奈良県で地域別診療報酬を下げることはない旨確認する」と明記されたことから、「既に、この問題は解決済み」との見解を示した。
 (2)に関しては、「基金創設前から存在している事業は、看護師等養成所への支援など、長期的に見て地域に大変重要なものが多く、それらは十分に確保されなければならない」として、長期的な視野に立つべきことを強調した。
 この他、「病床の機能分化・連携が進まない場合には、2020年度に実効性のある新たな都道府県知事の権限の在り方について検討し、できる限り早期に所要の措置を講ずる」と記載されたことに対しては、「知事の権限強化による強制的な機能分化は現場に混乱を招き、かえって医療提供体制を崩壊させかねない」と危惧し、「高齢者人口の増加には地域差がある。地域のニーズや人口減少に応じて、病床は減少していくものであり、病床を急激に減少させるのではなく、ソフトランディングすることが必要だ」とした。
 国民健康保険(以下、国保)の法定外繰入の解消については、「保険料の上限を見直すなどして、国保財政の収入増につなげることも必要」とした他、「国保の法定外繰入の解消によって得られた財源は、予防・健康づくりの財源として活用することも考えるべきである」との見方を示した。
 なお、今回の「骨太の方針」では、社会保障の負担と給付のあり方を「骨太の方針2020」で取りまとめるとされたことから、高齢化に伴う社会保障費の伸びについて具体的な数値は盛り込まれず、「引き続き、2025年度の財政健全化目標の達成を目指し、『目安』に沿った予算編成を行う」との記載に留まったことに関しては、「いずれの議論も先送りとなり、参議院議員選挙後から来年の『骨太の方針2020』に向けて厳しい議論が予想される」と述べ、日医として国民が必要とする医療を過不足なく受けられるよう引き続き主張していくとした。

医療機関以外の訪問リハ事業所の設置を牽制

 また、未来投資会議で示された、「未来投資戦略」の案となる「成長戦略フォローアップ案」についても、大筋で日医の意見が反映されていると評価。
 その上で、「復興特区特例措置により実施されている訪問リハビリテーションへの対応」として、医療機関等以外による訪問リハビリテーション事業所設置の特例措置の取り扱いに言及されていることに対しては、「介護サービスを利用する高齢者は、主となる疾病を抱えている。訪問先の居宅で事故が発生したり、患者が急変した場合、医療機関等の開設主体ではない事業所では十分な対応は期待できず、安全なサービス提供に不安があり、サービスの質の担保についても懸念されるべき状態となる」と牽制した。
 更に同会長は、「規制改革推進会議」が取りまとめる「規制改革実施計画」の案についても、日医の意見が反映されているとした上で、「今後も旧姓使用の活用等、引き続き男女共同参画の推進に努めていく」との意向を示した。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる