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令和2年(2020年)1月5日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

中村哲医師の逝去を受けて

日医定例記者会見 令和元年12月11・18日

 横倉会長は、アフガニスタン東部のナンガルハル州で昨年12月4日、日医会員で非政府組織「ペシャワール会」の現地代表を務める中村哲氏が何者かに銃撃され、逝去されたことに対し、哀悼の意を表するとともに、所見を述べた。
 まず、同氏が九州大学を卒業後、国内での病院勤務を経て、パキスタン北西の辺境州の州都ペシャワールに赴任し、現地で貧困者のハンセン病や結核などの診療に携わった後、アフガニスタン北東山岳部にも診療所を開設し、パキスタン、アフガニスタンの両国で医療支援活動に従事されてきた功績について説明。
 更に、干ばつによる水不足によって、赤痢やコレラの急増が原因で多くの乳幼児が命を落とす現状を目の当たりにし、「百の診療所よりも一本の用水路が必要」と痛感したことから、用水路の建設などの灌漑(かんがい)事業に着手し、農地の復旧と難民の帰還に多大なる貢献をされたことにも触れ、「これらの活動は正に、真に必要なものは何かを敏感に捉えられ、自らも汗を流して現地の人々の立場に身を寄せ、文化と人を最優先に尊重されてきたからこそ、成しえたものであり、頭が下がる思いである」と述べ、畏敬(いけい)の念を示した。
 また、日医でも同氏の長年にわたる医療を通じた国際協力の功績を称え、昨年11月1日に開催した「日本医師会設立72周年記念式典並びに医学大会」において、「日本医師会最高優功賞」を贈呈したこと、更に、式典当日は、帰国がかなわなかったため、後日、福岡で受賞の盾が渡されたことなどを、その際の写真も紹介しながら報告した。
 今回の銃撃事件については、武力紛争の際に適用されるジュネーブ諸条約の規定にも反する行為であり、断じて許すことはできないとするとともに、「世界医師会並びにアジア大洋州医師会連合からは会長名でこの暴挙を非難するとともに、中村医師を追悼するプレスリリースが出されるなど、世界中の医師が突然の死を悲しんでいる」と説明した。
 最後に、横倉会長は「中村医師ほどアフガニスタンの人々に愛され、感謝された方はいない」と強調。「ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げたい」と述べた。

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