日医定例記者会見 1月8・15日
横倉義武会長は、今年初めての定例記者会見に臨み、新年に当たっての所感を述べるとともに、子年は種子の中に新しい生命がきざし始める意味があるとし、「子年に蒔(ま)いた種が健やかに成長し、大きな花を咲かせられるよう、本年も全力で努めていきたい」と抱負を述べた。
横倉会長は冒頭、昨年の九州北部地方を襲った豪雨並びに関東・東北地方の台風などの自然災害が相次いだとし、被災地において地域医療を支えている会員を始め、支援に取り組まれている方々への敬意を表した。
その上で、地域医療体制の復興に向けて、必要な支援を継続するとともに、地球温暖化の影響により今後も頻発する自然災害に対し、迅速に対応するために改正を行った「防災業務計画」及び「JMAT要綱」について、今後も適宜見直しを行っていく考えを示した。
次に、これまでの子年を振り返り、2008年の後期高齢者医療制度開始や1948年の医療法と医師法の制定など、子年が今後の医療のあり方を方向づける重要な年であったことに触れ、今年6月に取りまとめられる予定の全世代型社会保障検討会議の最終報告も、今後のわが国の医療のあり方を左右する極めて重要な意味を持っており、「骨太の方針2020」を経て、年内にも関連法案が提出される見込みであると説明。
最終報告の取りまとめに向けては、「わが国の苦しい財政状況により社会保障に対する歳出圧力が強まる中で、更に紆余曲折(うよきょくせつ)が想定されるが、政府・与党や厚生労働省の会議の他、記者会見などを通じて、国民の安心につながる社会保障制度が構築されるよう、引き続き主張をしていく」と決意を述べるとともに、国民の生命と健康を守るために、日医は会員や国民に頑張っている姿を見せられるよう、引き続き医療政策を提言していきたいとした。
また、オリンピック・パラリンピックの日本開催に関しては、「熱中症などが懸念される夏の暑い時期に行われることから、選手の方々が思う存分その実力を発揮するだけでなく、観戦者が安心して観戦できるよう、大会関係者と協力しながら、対応に万全を期していく」とするとともに、医療面からのサポート体制の準備も進めていることを報告した。
更に、「骨太の方針2019」を踏まえ、2020年度予算では、厚労省と経済産業省とで、予防・健康づくりにおけるエビデンス確立のための大規模実証事業の実施に関する予算が確保されたことにも言及。「疾病予防・健康づくりの推進の必要性については、政府の全世代型社会保障検討会議においても三師会で合同提言しており、引き続き日医としても、大規模実証事業も含め、予防・健康づくりのために日本健康会議や関係省庁と連携して取り組んでいく」とした。
一方で、地域医療を守るためには、医療関係者が働きやすい環境づくりと医療機関の経営の安定も必要であり、医師の働き方改革に当たっては、「地域医療の継続性」と「医師の健康への配慮」の2つを両立させること、特に地域の救急医療をしっかりと維持できるようにしていくことが重要との見解を改めて示した。
また、かかりつけ医機能の定着にもより一層力を入れていくとした上で、「地域の身近なかかりつけ医を、入院機能を持つ地域密着型の有床診療所・中小病院がバックアップし、更にそれを後方支援する特定機能病院等の大病院が高度急性期や専門的な医療機能を担うことにより、それぞれの医療機関が連携して地域の医療提供体制をつくっていけるよう、引き続き検討していく」と述べた。
問い合わせ先
日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)