日医定例記者会見 3月18・25日・4月1日
横倉義武会長は3月27日、加藤勝信厚生労働大臣と会談し、「新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に関する要望書」を手交した。
同会長は、大阪大学で開発されているプラスミドDNAワクチンは既に動物用製剤が入手可能で、ヒトに対する臨床試験も予定されていることを説明。「抗血清製剤は、ハブ、まむし、ボツリヌス抗毒素として長い使用経験があるが、新型コロナウイルスに対する抗血清製剤は、重症感染者等に対する緊急対策として治療の選択肢に加えるべき」として、審査の柔軟な対応と開発に必要な財政支援を求めた。
なお、会談の中で横倉会長は、(1)新型コロナウイルス感染症患者等への医療に対する特殊勤務手当、(2)防護具や消毒薬等の配備など医療従事者が安心して患者を診られる体制の確保、(3)各地域における相談外来の公設、(4)医療機関の休業や一部閉鎖への補償、(5)風評被害等を含めた支援、(6)重症患者の増大に向けた備え、(7)民間保険の充実―なども要請した。
新型コロナウイルス感染症の影響により、医療機関の外来患者が約30%減少、入院患者が約20%減少するなど、特に急性期病院の経営環境が悪化している他、陽性者が発生した医療機関では休業や一部閉鎖を余儀なくされたり、風評被害による急激な患者減少で収益が激減しているなどの窮状を訴え、「新型コロナウイルス感染症によって医療提供体制が壊れないよう、支援をお願いしたい」と強調。加藤厚労大臣は「何らかの対応を検討したい」と応じた。
令和2年3月27日
厚生労働大臣 加藤 勝信 殿 日本医師会
会長 横倉 義武 新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に関する要望書
全国各地で、新型コロナウイルスの感染拡大が見られ、診療の第一線において医療従事者が感染する事例が増加しております。ワクチンによる医療従事者への免疫付与は感染防止に不可欠であり、一日も早い実現が強く求められます。 大阪大学で開発されているプラスミドDNAワクチンは、すでに動物用製剤が入手可能であり、今後ヒトに対する臨床試験が予定されています。現場で感染の危険にさらされている医師をはじめとした医療従事者を対象に臨床試験を実施することにより、上記の切実な要望に応えることができます。 抗血清製剤は、ハブ、まむし、ボツリヌス抗毒素として長い使用経験がありますが、新型コロナウイルスに対する抗血清製剤は、重症感染者等に対する緊急対策として、治療の選択肢に加えるべきものと考えます。 これらをできるだけ早期に実現するためには、国家の非常事態対策として、審査の柔軟な対応、および開発に必要な財政支援がぜひ必要であり、格段のご支援を強くお願いいたします。 |
国民の感染予防への取り組みの強化等を要請
横倉会長は、また、4月4日には、この日、東京都で新たに確認された新型コロナウイルス感染症の感染者数が初めて、3桁となる118人になったことを受けて、国民の感染予防への取り組みの強化を求める要望書を、更に6日には新型コロナウイルス感染症患者を診療している医療機関への支援を求める要望書を、加藤厚労大臣に提出した。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)