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令和2年(2020年)5月20日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

日医・日本医学会・都医並びに医学有識者により「日本医師会COVID-19有識者会議」を設置

 日医は日本医学会、東京都医師会並びに医学有識者と共に「COVID-19医学有識者会議(仮称)」(後日、「日本医師会COVID-19有識者会議」に改名)を新たに会内に設置することとなり、4月18日に第1回目の会議を開催。会議終了後には横倉義武会長らが記者会見を行い、その趣旨を説明した。

 本有識者会議は、緊急事態宣言下にあるわが国において、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の感染爆発と医療崩壊を防ぐため、日本の医学の叡知(えいち)を結集することで、医学を基盤とする科学的根拠に基づく医療を構築するとともに、日医や都道府県医師会と一体化して活動することを目的として設置されたものである(設置時の構成員は別掲)。
 第1回目の会議では会則を決定した他、フリートーキングが行われた。
 その後の会見では、まず、笠貫宏早稲田大学特命教授が、COVID-19に対して、日医・日本医学会並びに各都道府県医師会が、その収束に向けて積極的に対応しているにもかかわらず、感染者は増加の一途をたどり、東京都は感染爆発の危機に直面している現状にあることから、横倉会長、尾﨑治夫都医会長と相談し、「医学界として、医師会の活動を学術的な面から支援することで、医師会と医学界が一体となって、COVID-19に立ち向かっていくことが必要だという認識に至った」と有識者会議の設置の経緯を説明した。
 横倉会長は、COVID-19は症状が急速に悪化することから、スピード感をもって対応することが求められるとした上で、「一刻も早く有効な治療薬等のエビデンスが整い、患者に安全に使用できるようになることが必要だ」と指摘。「このような中、本有識者会議を発足して頂き、アカデミアの立場から医学を基盤とする科学的根拠に基づく医療を構築し、臨床現場における治療面での信頼できる情報を提供頂けることに感謝申し上げる」と述べるとともに、今後件数が増えていくPCR検査の精度の担保や抗体検査の信頼度を高めることへの協力を求めた。
 また、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」と本有識者会議との関係については、「専門家会議は主に、疫学的、公衆衛生学的視点から議論されており、本有識者会議は主に、臨床の観点からエビデンスに基づく提言をして、現場の支援を行うもので、対立するものではなく"車の両輪"と言うべきものである。政府の専門家会議には、日医から釜萢敏常任理事が参加しているが、その発言がより重みを増すためにも、本有識者会議の先生方と臨床上のさまざまな知見を共有させて頂く意義は大きい」と説明。日医においても、助言頂いた臨床上の有益な知見を、いち早く現場の医師に伝えられるよう、スピード感をもって対応していきたいとした。
 門田守人日本医学会長は、科学的エビデンスに基づいた情報が少ない中で、アカデミアが本来の科学的な根拠に基づいた知見を積み重ねていくことが重要になると指摘。「医療崩壊は絶対に起こしてはならず、そのためには個別に物事を見るのではなく、全体を通しての優先課題は何なのか、俯瞰(ふかん)的な対策を行うことが必要である。どこまでできるか分からないが、日本医学会加盟の136学会が総力を挙げて対応していく」と述べた。
 尾﨑都医会長は、抗体検査について、「まだ疑問点が多く、しっかり評価ができるような形にしていくためにはアカデミアの協力は欠かせない」との考えを示し、本有識者会議に対して、「軽症患者を重症化させない環境づくり等、COVID-19と闘っていく上でのさまざまな戦略や武器を提供して頂けることを期待している」とした。
 また、「医師会だけでなく、医学界全体が一体となって、この困難に立ち向かう姿勢を打ち出すことで、多くの医療機関が協力してくれることを願っている」と述べた。
 本有識者会議の座長に就任した永井良三自治医科大学長は、同日、会見に先立ち開催された本有識者会議の内容を概説。現在、日本感染症学会に登録されている40余りの具体的なCOVID-19の症例について、検索や統計が取れるようなデータベースを作成中であることを報告した。
 國土典宏国立国際医療研究センター病院理事長は、「今後は検査法や治療法の開発、そして重症化予測などについて、本有識者会議で俯瞰的な視点で検討を続け、科学的根拠に基づいた妥当性のある方向へと導いていきたい」と抱負を語った。
 同会議では今後、同会議の下に設置された四つのタスクフォース(①COVID-19感染対策におけるPCR検査実態解析と利用推進TF②救急医療並びに中等症以上のCOVID-19対応にかかわるTF③在宅医療にかかわるTF④COVID-19集中治療体制にかかわるTF)などでテレビ会議やメールを活用しながら議論を続け、提言を取りまとめることになっている。

日本医師会COVID-19 有識者会議 構成員
座長 永井 良三(自治医科大学学長)
副座長 笠貫  宏(早稲田大学特命教授)
門田 守人(日本医学会会長)
相澤 孝夫(日本病院会会長)
有賀  徹(労働者健康安全機構理事長/昭和大学名誉教授)
石川 義弘(横浜市立大学副学長)
栗原  敏(東京慈恵会医科大学理事長)
楠岡 英雄(国立病院機構理事長)
國土 典宏(国立国際医療研究センター病院理事長/東京大学名誉教授)
近藤 達也(Medical Excellence JAtdAN理事長)
堺  常雄(日本病院会共済会代表取締役)
髙本 眞一(社会福祉法人賛育会理事/東京大学名誉教授)
宮田 裕章(慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教授)
山本 修一(千葉大学副学長・大学院医学研究院眼科学教授)
横田 裕行(日本体育大学大学院保健医療学研究科研究科長・教授/日本医科大学名誉教授)
吉原 俊雄(東京医科大学客員教授)

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