閉じる

令和2年(2020年)6月20日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「手指消毒用エタノールの供給実態に関する調査」の結果(速報)を公表

日医定例記者会見 5月27日・6月3日

 長島公之常任理事は、医療機関等において新型コロナウイルス感染症対策に必要とされる手指消毒用エタノールの供給不足問題の解決に向けて、厚生労働省より導入された優先供給スキームの仕組みに関連した実態調査結果の速報について報告。今後の供給の改善策に関する日医の考えを述べるとともに、今回の優先供給スキームに協力されたメーカー及び流通業者に対して深い感謝の意を表明した。
 同常任理事は、まず、手指消毒用エタノールの優先供給スキームについて、各医療機関、高齢者施設等の在庫状況に応じて、都道府県の備蓄により、その需要に対応することを基本とし、備蓄で対応できない場合などには、都道府県は厚労省に対して都道府県備蓄積み増しのための供給(斡旋(あっせん))要請を行えることになっており、厚労省は都道府県の備蓄状況等を踏まえ、各都道府県に供給可能量を割り振り、メーカーに提供要請し、都道府県での購入手続き後に必要な施設に供給されることになっていると説明。
 今回、日医が調査を行った目的については、優先供給スキームにおける現状把握と課題を検討することにあるとした上で、都道府県医師会に対して行った「新型コロナウイルスに関連した感染症の発生に伴う手指消毒用エタノールの供給実態に関する調査」(5月15日~29日)の結果(速報)として、「何かしらの問題がある」との回答が、25医師会(53%)であったことを明かした。
 また、問題があったと回答した医師会に対して詳細な内容を確認するための追加調査を行い、5月29日時点で17医師会から回答を得たとして、その主な事例を紹介。①行政との連携について、「行政との連携が十分でなく、国または都道府県行政からの情報共有及び周知が徹底されていなかった」、②発注方法について、「5月配送分から導入されたWEB発注システムでは、各施設が供給を受ける時点で商品名(内容)と価格を明確に確認できるので継続を求める」「医療機関に代わって医師会がWEB発注を代行するなど、地域医師会の負担増となった」、③納品時期について、「納品時期が遅い、不明確」、④価格について、「日頃購入している製品の価格と比べて高い」、⑤返品について、「医療機関のキャンセルについて地域医師会で買い取り費用を負担した」等があったことを報告した。
 同常任理事は、調査で判明した問題を踏まえて、今後の供給体制の立て直しが必要であると指摘。「必要な量の手指消毒用エタノールを確実かつ安定的に負担を増やさずに必要なところに供給することについて、国や自治体は責任を持つべきである」と述べるとともに、「都道府県等の備蓄により、その需要に対応することを基本とすることの徹底が必要である」との考えを示した。
 更に、備蓄だけでは需要に対応できない場合に備えた優先供給スキームも継続すべきであるとし、国に対して今回の調査で判明した問題点と好事例を伝え、その改善を求めるとともに、国においても現状調査を行うよう要望する予定であるとした。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる