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令和2年(2020年)7月5日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

令和2年度薬価調査の実施見送りを要求

 横倉義武会長は6月10日、堀憲郎日本歯科医師会長、山本信夫日本薬剤師会長と共に日医会館で記者会見を行い、令和2年度に実施予定の薬価調査について、その実施の見送りを求める要望を三師会合同で取りまとめたことを公表するとともに、その趣旨を説明した。

 薬価調査については、平成28年12月に四大臣の合意により、「薬価制度の抜本改革に向けた基本指針」が取りまとめられ、市場実勢価格を薬価に反映して国民負担を抑制するために毎年調査を実施することになっている。
 会見の中で横倉会長は、(1)新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は5月25日に全都道府県で解除されたが、この未知なる感染症は長期的な対応・対策が必要であり、今後は「次なる波に備えた安全・安心のためのビジョン」の方向性に従って、早急に医療提供体制の確保や感染予防対策などの強化に取り組んでいかなければならない、(2)このような中、来年度に実施予定の薬価改定のためには、今年秋に薬価調査を行い、市場実勢価格を把握する必要があるが、医薬品の販売側である医薬品メーカーと医薬品卸業者、並びに購入側である医療機関と薬局においては、新型コロナウイルス感染症の発生への対応を最優先に総力戦で対応している、(3)医薬品卸業者においては、当日の中医協薬価専門部会で意見表明があったように、感染防止のため通常とは異なる配送体制を組んでおり、例年と同様の医薬品流通の状態になく、医療機関及び薬局においては、医薬品購入に係る価格交渉ができておらず、今後も当面の間、そのような状況は続くことが予想される―ことなどを説明。
 その上で、横倉会長は、「現在の状況は、販売側・購入側共に薬価調査を実施できるような環境にあるとは言えず、仮に調査を実施したとしても、薬価改定に必要な適切な市場実勢価格を把握することは極めて困難であり、新型コロナウイルス感染症への対応並びに感染拡大防止に医療現場全体で最大限取り組んでいるこの時期に、医薬品卸や医療機関・薬局に対し、調査に伴う事務作業負担を強いるべきでない」として、薬価調査の実施の見送りを強く求めた。
 引き続き、意見を述べた堀日歯会長は、「横倉会長と全く同じ認識だ」とした上で、「現在医療機関等は通常の医療提供体制ではなく、通常の価格交渉もできない状況にあり、調査による事務負担を増やすべきではない」と主張。山本日薬会長も、「この時期に新型コロナウイルス感染症に尽力して欲しいと言いながら、薬価調査という大きな負担を掛けるというのは無理な話だ」と調査の見送りを求めた。
 その後の記者との質疑応答の中で今後の対応を問われた横倉会長は、三師会始め医療関係団体と力を合わせ、今回の要望を基に加藤勝信厚生労働大臣等に薬価調査の実施の見送りを働き掛けるとともに、国民に対しても理解を求めていく考えを示した。

中医協においても薬価調査の延期を主張―松本常任理事

 薬価調査については、6月17日に開催された中医協薬価専門部会においても議論が行われた。
 当日、厚労省事務局は薬価調査の計画案を提示し、意見を求めた。
 松本吉郎常任理事は、業界団体からのヒアリングなどからも調査を実施する環境にはないこと、仮に調査を実施したとしても、薬価改定に必要な適切な市場実勢価格を把握するのは極めて困難であることは明らかだと指摘。三医師会で取りまとめた要望書を紹介しながら、「調査の内容を議論するのであれば、薬価調査の実施が決まってから行うべきであり、今の時点で具体的な実施方法を議論するのは理解できない」と強く反発した。
 また、支払側が、「必要最小限の調査を行い、薬価調査に必要なデータが集められなければ、薬価改定を行わないということもできるのではないか」と述べたことに対しては、「今は医薬品卸、医療機関、薬局全てが新型コロナウイルス感染症対策に最大限の努力をしており、そのような中で調査をするということは大変な負担を掛けることになる。まずは新型コロナウイルス感染症対策をしっかり行い、収束を図るということを、我々にさせて頂きたい」と主張した。

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