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令和2年(2020年)8月20日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス対応下での医業経営状況等アンケート調査の続報を報告

日医定例記者会見 7月22・29日

 松本吉郎常任理事は、これまで3月及び4月診療分を報告してきた、「新型コロナウイルス対応下での医業経営状況等アンケート調査」の続報(5月分)を報告した。
 5月分については、主な調査項目は前回と同様であるが、新たに受診動向として、「特定健診およびがん検診等、各種健診の実施者数、予防接種の実施者数」についても調査を実施、病院136、診療所530の計693施設(不詳27含む)から回答を得た。
 病院の入院外の総件数・総日数・総点数については、総件数、総日数が対前年同月比で約2割減少し、総点数は1割以上(11・6%)減少。診療所では、総件数・総日数・総点数の全てが、昨年5月と比べて、2割以上減少(総点数は20・2%減)していた。
 診療所の主な診療科別に、小児科の7割以上で総点数が前年比で30%以上減少。小児科及び耳鼻咽喉科では、50%以上減少した診療所も存在した。
 1カ月の売り上げが前年同月比で50%以上減少した場合、持続化給付金の支給対象となるが、減少額に対し支給額が少なく、支給も1回限りのため十分な支援となっていない。
 診療所の医業利益への影響では、1カ月当たり、有床診療所でマイナス360万円、無床診療所でマイナス120万円、小児科ではマイナス300万円、耳鼻咽喉科ではマイナス280万円で、大幅な赤字となっていた。
 また、感染防止の取り組みを行う医療機関には、有床、無床それぞれの診療所に補助金が支給されるものの、持続化給付金と同様に1回限りであり、感染拡大を防ぎながら、地域で求められる医療を提供するための診療体制を確保できるのか、大変不安な状況となっている。
 初診料の算定回数では、今年5月の初診料算定回数は、一般病院及び無床診療所で、前年同月に比べて4割以上、有床診療所で3割以上落ち込むなど、3~5月と継続的に減少し続けており、回復の兆しは見られていない。
 再診料の算定回数も同様に回復の兆しはなく、前年同月と比べておおむね2割近く減少しており、その背景には、同ウイルスの影響により、長期処方が増加したことがあると考えられる。
 なお、長期処方の患者数に関しては、有床診療所の約6割、無床診療所の約7割で増加しており、今後も同様の傾向が続いた場合、再診料の算定回数も回復しないことが懸念される。
 電話等再診の算定結果では、再診料等の全体に占める電話等再診の割合は2%程度であり、電話等再診に係る臨時的な取り扱いについては、同ウイルス感染症収束後も継続あるいは拡大するのではなく、今後の患者ニーズについて、丁寧に検証していくことが必要となる。
 今回追加された「特定健診およびがん検診等、各種健診の実施者数、予防接種の実施者数」については、いずれも実施者数が減少しており、健康への悪影響が懸念されるため、受診勧奨が大変重要である。

薬価調査の実施は遺憾

 その他、松本常任理事は、同日開催された中医協の議論について触れ、これまでの同調査の結果等を踏まえ、同ウイルスによる医療現場への影響について、中医協で幅広く議論できるような資料の提出を事務局に要望したとし、「資料に基づき、地域の医療提供体制が壊れないような方策を幅広く検討していきたい」と述べた。
 更に、令和2年度薬価調査に関しては、「同ウイルス感染症への対応並びに感染拡大防止に医療現場全体で最大限取り組んでいる状況にあり、薬価調査を実施できる環境にあるとは言えず、実施の判断がなされたことは大変遺憾」とした上で、「調査を実施するのであれば、医療現場に十分な配慮をすることが最低限必要である」と強調。先日の7月豪雨の被災地は対象から外すよう要請し、了承されたことを報告した他、薬価改定の実施については、調査結果を例年以上に慎重に検討した上で改めて議論する必要があると主張した。

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