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令和2年(2020年)9月5日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の医師会病院経営への影響(2020年3~6月)を概説

日医定例記者会見 8月5・19日

 松本吉郎常任理事は、7月8日に公表したアンケート調査「新型コロナウイルス感染症の病院経営への影響―医師会病院の場合―」(2020年3~5月)の続報として、6月分を加えた結果を報告した。医業収入は前年同期に比べ8・3%減であり、医業利益率は前年の6・4%減から15・5%減へと、赤字幅が拡大している。
 本調査は、医師会病院72病院に対して、2回に分けて行ったアンケート調査を統合して分析したもので、2020年3~6月分について前年同月と比較している。1回目の調査期間は6月5日から7月3日、回答数は58病院(回答率80・6%)、2回目の調査期間は7月10日から8月14日、回答数は56病院(回答率77・8%)。
 「医業収入」の2020年3~6月の通期は8・3%減であり、「医業利益(損失)率」は前年の6・4%減から15・5%減に悪化した。
 特に、新型コロナウイルス感染症入院患者ありの病院の医業利益率は、24・6%減と大幅な赤字になっており、1カ月の赤字額(2020年3~6月平均医業損失)は1億980万円にのぼっている。一方、入院患者なしの病院であっても、医業利益率は9・7%減であり、2010万円の赤字であった。
 1カ月1床当たりで見ると、入院患者ありの病院は4万1100円の赤字、入院患者なしの病院で1万800円の赤字となっている。
 なお、重症・中等症の新型コロナウイルス感染症患者に対しては、特例的な診療報酬の引き上げが行われているが、病院全体で見ると、3~6月通期の入院1件当たり点数は、新型コロナウイルス感染症入院患者ありの病院(105・8%)となしの病院(106・3%)にほとんど差は見られない。
 「入院外総件数」は、5月に24・4%減少し、6月はやや減少幅が縮小したが、3~6月通期では14・7%の減少となっている。
 「初診料算定回数」は、5月は前年同月に比べ43・3%減、6月は24・7%減であり、3~6月通期では32・1%減であった。
 「再診料または外来診療料算定回数」は、3~6月通期が21・7%減で、新型コロナウイルス感染症入院患者ありの病院では、5月が39・7%減、3~6月通期で28・1%減と、落ち込みが激しくなっている。
 「電話等再診」の算定回数の割合は、3~6月通期の再診料等の約1%にとどまっているものの、一度でも電話等再診を行った病院は約8割に達している。
 同常任理事は、3~6月の初診料算定回数が前年同期に比べ約3割減少し、再診料、外来診療料も約2割減少していることに触れ、「5月に比べ、6月は若干持ち直したものの、3月時点とほぼ同水準であり、受診控えに回復の兆しが見えているとは言い難い」と指摘。
 記者との質疑応答では、新型コロナウイルス感染症の入院患者は入院患者全体の一部に過ぎず、同感染症患者受け入れのため、減床や手術の延期を余儀なくされている状況においては、診療報酬による特例的な措置が病院全体の増収に結び付くとは言えないとして、引き続き政府に医療機関への支援を求めていく姿勢を示した。

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