日医定例記者会見 10月7・14日
長島公之常任理事は、10月7日の定例記者会見で、オンライン診療時の医師資格と本人確認について、『患者の安全・安心を確保するための提言』を公表した。
同常任理事はまず、一般的なオンライン利用の重大なリスクとして"なりすまし"を挙げ、オンライン診療においても同様に医師や患者のなりすましのリスクがあると指摘。具体的には、ニセ医師の不適切な医療による患者の健康被害の発生、患者の薬剤の不正入手や健康保険の不正使用などが考えられるとして、「医師資格及び本人確認をより厳密に行う必要性がある」と強調した。
また、同日の記者会見で中川俊男会長が説明を行った"オンライン健康相談"についても、「なりすましのリスクに留意すべきである」と述べた。
次に、オンライン診療に関する厚生労働省のガイドラインである『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に言及した同常任理事は、現在の同指針では、医師と患者に直接的な関係が既に存在する場合に限って利用されることが基本とされているため、厳密な医師資格及び本人確認が必要な状況が想定されていないことを説明。現時点で実施可能な対応策として、医師は原則、HPKIカード(医師資格証)を画面に提示することを提案した。併せて、同カードを使用すべき理由として、(1)顔写真が貼付してあり、クレジットカード等と同じサイズで本人の顔と共に画面への提示が容易、(2)カードの表面には偽造防止用ホログラムが貼付してあり偽造は困難―であることを挙げ、「医師資格証は、医師資格・本人確認に最も適している」と強調した。なお、同カードは日本医師会員だけでなく非会員医師にも発行している。
更に、患者の本人確認についても、原則、運転免許証等の顔写真付き証明書の画面提示を行うことを提案するとともに、オンライン診療に使用するシステムに関しては、「同指針の"患者が医師の本人確認を行えるように、顔写真付きの身分証明書と医籍登録年を常に確認できる機能を備えること"への遵守を徹底すべきである」と提言した。
同常任理事は、これらの現時点で実施できる提言の他、今後に向けた提言も発表。「現時点の画面への確認書類の提示に加えて、今後は電子認証をアナログ確認の補完として併用すべき」とした上で、段階的に、1.申込時の医師資格確認のオンライン診療システム事業者への義務化、2.オンライン資格確認を用いた患者の保険資格確認(令和3年5月から)、3.HPKIカード、マイナンバーカード(JPKI)でのログインの義務化―を指針に追加もしくは所要の改定を実施すべきであるとした。併せて、HPKIカードを全医師に配布するための財源を含めた措置の必要性も求めた。
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