日医定例記者会見 10月7・14日
中川会長は、デジタル化やICT等の技術進歩に伴い、オンラインの活用を取り入れることに改めて賛意を示した上で、その推進のためには丁寧な議論が必要であるとして、日本医師会の考えを説明した。
中川会長はまず、オンライン診療及びオンライン健康相談の全体を俯瞰(ふかん)する分類イメージを示し、「オンライン健康相談は公的医療保険外のサービスであり、医療関係法令の制約を受けない分野であるが、利用者の安心と安全を守るため適切な仕組みの下で実施されるべきである」と述べた。
更に、オンライン健康相談事業への要請として、(1)国としての定義の明確化、(2)省庁横断的な指針の作成、(3)業界ガイドラインの作成、(4)利用者リテラシーの向上―を挙げるとともに、本人認証の徹底等、システム面での整備が急務であるとの見解を示した。
(1)では、現状のオンライン健康相談に関して、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」、経済産業省「医師等による遠隔健康相談事業」における記載内容や、オンライン診療の適切な実施に関する指針において整理された、現在実施可能な行為を紹介し、国として明確な定義がなされていないことを指摘。
その上で、日本医師会として、医師法上の医師と医師以外の業務範囲の定義に鑑み、医師以外での相談業務については、「オンライン生活相談(仮)」等の名称とすることを提案した。
(2)では、医師会及び学会などの医療関係者、患者(患者団体)等の参画を得て、経産省のみならず、厚労省等を含めた関係省庁が横断的に指針を作成すべきと主張。「事業フレームを精査し、必要であれば法規制の創設、改正を行うべき」と述べるとともに、指針では、最低限の適切な受診勧奨方法や対応者の質の担保を必須項目とする他、指針を遵守(じゅんしゅ)しているかの監視やAI健康相談も視野に入れることが求められるとした。
(3)では、国としての指針を踏まえ、医療関係者(医師会・学会)等によるガイドラインの作成の場への参画と第三者評価を行うべきとした。
更に、(4)では、オンライン健康相談でできることとできないことを利用者に理解してもらうことが必要であり、その理解が得られない場合には、事業展開を保留にすることも考慮すべきであるとした。
また、かかりつけ医によるオンライン健康相談の支援に関しては、かかりつけ医が診療行為の一環として行う場合には、今後、診療報酬による適切な評価を検討する必要があるが、それ以外の場合には、必要とする医師がその実施のために行う環境整備に対する支援が必要になるとの考えを示した。
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