令和3年(2021年)1月5日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
医療関係9団体で「医療緊急事態」を宣言
四師会・四病協・東京都医師会合同記者会見
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中で、日本医師会を始め、医療関係団体(日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本病院会、全日本病院協会、日本精神科病院協会、日本医療法人協会、東京都医師会)は昨年12月21日、日本医師会館で緊急に合同記者会見を実施し、「医療緊急事態」を宣言した。
今回の宣言は九つの医療関係団体の一致した意見として取りまとめられたものである。その中では、国民に安心して新年を迎えてもらうため、国や地方自治体に対して、国民への啓発並びに医療現場の支援のための適切な施策を要請するとともに、医療関係団体として、国民の生命と健康を守るため、地域の医療及び介護提供体制を守り抜くとの決意を表明。また、国民には引き続き徹底した感染防止対策を求めている。
冒頭あいさつした中川俊男会長は、「日本が世界に誇る医療制度が風前の灯火(ともしび)の状況にある」と述べ、現状に危機感を示すとともに、政治家に対して批判や牽制(けんせい)ではなく、建設的な議論に限られた時間を費やすことを、政府に対しては勇気をもって早め早めに対策を打ち出すことをそれぞれ要求。その上で、「万全の感染防止対策が最強の経済対策になること」を改めて強調するとともに、「コロナに大手を振って新しい年を迎えさせるわけにはいかない」として、国民に過酷な医療現場に思いを馳せ、今できる対策の全てを実行することを求めた。
引き続き、釜萢敏常任理事が宣言の全文を朗読。今回の会見に合わせて、都道府県医師会に地域住民、医療機関に向けたメッセージを募集したことを明らかにするとともに、寄せられたメッセージは地域ごとの切実な訴えであるとして、理解を求めた。
その後は、各団体から所見が述べられた。
堀憲郎日本歯科医師会長は「今回の宣言の趣旨を理解し、自らできる対策を徹底して欲しい」と要請。山本信夫日本薬剤師会長は「これ以上の感染拡大が続けば、医薬品の提供にも影響が出かねない」として、国にその対策を求めた。
福井トシ子日本看護協会長は看護師の離職が増加している現状を危惧。「このままでは救える命も救うことができなくなる」として、看護師が看護業務に専念できる体制整備を要求した。
相澤孝夫日本病院会長はこれ以上の感染拡大を防ぐためには、個々人の努力に頼るだけでは難しくなっていると指摘。国には地方自治体が連携し、国民の行動を制限するような対策を取ってもらいたいと要請した。
猪口雄二全日本病院協会長は病床不足をすぐに解消するのは難しいことに理解を求めるとともに、国に対して迷わず新たな政策を実施して欲しいと要求。長瀬輝諠日本精神科病院協会副会長は「国家が本腰を入れてこの事態を解決してもらいたい」とした他、伊藤伸一医療法人協会会長代行は「医療現場は崩壊しかけている。国民には自らの行動管理が命を守るという意識を持って欲しい」と述べた。
尾﨑治夫東京都医師会長は「今、感染者数を減らさなければ、日本の医療は崩壊してしまう」とその窮状を訴えるとともに、「年末年始が本当の勝負だ」として、国民にしっかりとした感染対策の徹底を求め、政府からも強い声明を出すべきとの考えを示した。
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