令和3年(2021年)3月20日(土) / 日医ニュース
医師はプロフェッショナル?
東京北医療センター耳鼻咽喉科/難聴・中耳手術センター科長/自治医科大学名誉教授・客員教授 飯野ゆき子
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勤務医のひろば
年始にNHK番組の″プロフェッショナル―仕事の流儀―"の再放送を見た。黒柳徹子さんの特集であった。とても心に残った。
番組の最後に″プロフェッショナルとは?"という質問があった。″高度の知識と技術を持って仕事をしている人"と以前は思っていた。
だが今は、″情熱を持って熟練した仕事を継続してやっていける人"であると。Key wordsは情熱、継続である。
私の母は、昨年96歳で亡くなった。普通ならば大往生であろうが、母はピアノ教師として現役を貫いた。
秋田市でピアノ教室を開いて70年、3000人以上の生徒さん達を教育してきた。
また、クリスチャンだった母は、毎週日曜日の教会での礼拝でオルガンの奏楽もしていた。特にクリスマスの奏楽には力を入れており、「私でないとダメなの」と最後まで後輩に譲ろうとしなかった。情熱を持って仕事を継続した母は、まさにプロフェッショナルだったと今更ながら思う。
さて、自分を振り返ってみるとどうであろうか。三つの大学病院を含め、現在勤務している東京北医療センターが6施設目。ずっと勤務医生活を送ってきた。
早くから専門を耳科学と決め、基礎研究、臨床研究もその分野で行ってきた。また、″耳"に関する一般臨床、耳科手術を専門分野として継続してきた。この領域は自分にとっての″only one"である。キャリア形成における″only one"とは、″あなたにしかない医師の能力を仕事の上で持っている"、″あなたにしかできないその仕事を他人が必要としてくれる"、とされる。医師としてプロフェッショナルであるためには、″only one"を持ち、それに情熱を注ぎ、継続することと言えよう。
漫然と仕事を継続するのは容易である。しかし、どうしたらいつまでも情熱を持ち続けることができるのであろう。徹子さんは最近、孫ほどの年齢差がある青年との恋を描いた朗読劇に挑んだという。
私もプロフェッショナルと自負できるよう、更に新しいことに挑戦しよう。