日医定例記者会見 6月16日
中川俊男会長は、新型コロナワクチン接種について、注意喚起や地域の好事例の紹介をした他、緊急事態宣言に関する考えを説明した。
中川会長はまず、現在、同ワクチンの接種機会が広がっており、2回目の接種を終えた医療従事者においては感染が急激に減少するなど、効果が出てきていることを評価。その上で、課題として、(1)特に若年層で接種に不安をもつ方が少なくないこと、(2)1回目と2回目の接種場所を同じにすること、(3)接種を受けられない・望まない方への差別等―を挙げ、それぞれ解説を行った。
(1)では、日本医師会として、接種を希望する全ての方に安心して受けてもらえるように、本年3月から「日本医師会公式YouTubeチャンネル」にて、フリーアナウンサーの宇賀なつみ氏の質問に釜萢敏常任理事が答える形式の動画「みなさんの疑問に答えます! 新型コロナウイルスワクチン」を掲載していることを紹介し、参考にするよう呼び掛けた。
(2)では、「ワクチンは1回目と2回目も同じ場所で受ける必要がある」と強調し、その理由として、ワクチンは2回とも同じメーカーのものを接種する必要があり、現在は原則として、自治体の集団接種やかかりつけ医の個別接種ではファイザー社、大規模接種会場や職域接種ではモデルナ社のワクチンが使用されていることを説明。2回目も同じ場所で接種できることを確認した上で、1回目の予約をすることや重複予約を行わないよう求めた。
(3)では、さまざまな事情で、接種を受けられない方や望まない方がいるため、そのような方に対して、決して差別したり偏見をもつことのないよう呼び掛けた。
その他のワクチン接種についての注意点としては、1回目の接種だけでは変異株への効果が低いことが報告されているため、必ず2回目の接種も受ける必要があるとした。
また、接種の拡大に伴い、供給体制の問題が生じている地域もあることから、日本医師会として、接種機関が余裕をもった計画を立てられるよう、国に対してワクチンの配分の見通しの開示を強く要請し、調整していることを説明した。
次に、ワクチン接種の好事例を紹介。今回は、①医師のみならず、派遣される看護師も含めてワクチンの担い手チーム全体の派遣調整を行い、個々に調整するよりもスムーズに進んでいる岡山県医師会②市と連携し、医師会が運営する「苫小牧市保健センター」が職域接種の受け皿となり、同センターでの接種と巡回での接種の対応を行うべく準備している苫小牧市医師会―の2事例を挙げた。
最後に、6月20日に期限を迎える緊急事態宣言に対する日本医師会の考え方を説明した中川会長は、「緊急事態宣言については、発令は早めに、解除はゆっくり慎重にという方針は変わらない」と述べるとともに、政府の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでもリバウンド等の懸念が示されているため、仮に解除する場合でも「下りのまん延防止等重点措置」を適用するなど、「規制については一気に解除するのではなく、ゆっくり徐々にきめ細かく慎重に解除していくべき」との考えを示した。
ワクチン接種推進のための好事例
●志摩医師会(三重県) 志摩市では医療機関が少ないため集団接種のみを実施しており、あらかじめ、はがきで希望日と希望会場を聞き、接種日と接種会場を通知。接種当日はアナフィラキシー歴や服薬の状態に応じて色の異なるリストバンドを巻き、問診・接種をスムーズに行っている。 余剰ワクチンは在宅患者、高齢者施設入所者へ調査を行った上で割り振り、現在までに余剰ワクチンの廃棄は無く、6月中には高齢者の接種を終了する予定となっている。 ●伊予医師会(愛媛県) 予診ブースと接種ブースを一つにしたため、高齢者が移動する必要がなく、医療従事者が移動することで、時間のロスもなく、少ない医療従事者で効率よく接種に取り組めている。 ●岡山県医師会 県の集団接種会場に、県看護協会や派遣会社からの看護師が派遣されている。岡山県医師会では、医師のみならず、派遣される看護師も含めたワクチンの担い手チーム全体について派遣調整を行っており、個々に調整するよりもスムーズに進んでいる。 ●苫小牧市医師会(北海道) 苫小牧市医師会では、日頃より定期予防接種を含めて、市と密な連携をとっており、職域接種についても、市からの要請に対して協力することとしている。 市内には1,000人超の従業員を抱える企業は少なく、ほとんどが商工会議所に所属する小規模な企業であるため、苫小牧市医師会が運営する「苫小牧市保健センター」が職域接種の受け皿となり、同センターでの接種と巡回での接種の対応を行うべく準備している。 |
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