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令和3年(2021年)7月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「経済財政運営と改革の基本方針2021」―データヘルス改革に関する日本医師会の考え―

日医定例記者会見 6月23・30日

「経済財政運営と改革の基本方針2021」―データヘルス改革に関する日本医師会の考え―

「経済財政運営と改革の基本方針2021」―データヘルス改革に関する日本医師会の考え―

 長島公之常任理事は、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(以下、基本方針)の中で触れられた、データヘルス改革に関連した部分に対する日本医師会の見解を説明した。
 今回の基本方針には、医療・特定健診等の情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みや、医療機関・介護事業所における情報共有とそのための電子カルテ情報や介護情報の標準化の推進等、データヘルス改革に関する工程表にのっとり、改革を着実に推進すると記載されている。
 まず、同常任理事は医療分野のIT化に対する指針として、日本医師会では2001年に「日医IT化宣言」を、2016年に「日医IT化宣言2016」をそれぞれ公表し、医療分野のIT化に対して積極的かつ先進的に取り組んできたことを報告した上で、IT化は国民・患者と医療従事者にとって安心・安全に利用でき、役に立つものであるべきとの考えを示した。
 その上で、データヘルス改革推進のために普及させるべき重要なインフラとして、(1)オンライン資格確認、(2)医師資格証―の2点があると指摘。
 (1)については、「システムの安定性確保や加入者データの正確性担保等の観点から先送りとなっているが、導入によって構築される『全国の医療機関をつなぐ安全なネットワーク』は、今後のデータヘルス改革の全てに関わる重要なインフラとなるため、日本医師会としても普及推進に協力している」と説明。また、ネットワークの活用が増えるほど、医療機関におけるサイバーセキュリティの重要性も増すことを指摘し、医療機関のセキュリティ対策に関する支援も必要になると強調した。
 (2)については、「現在、地域医療連携ネットワークへのログインや診療情報提供書作成時の電子署名等に利用されているが、今後構築される電子処方箋を運用していく上でも必須のものになっていく」とし、その普及のため、全ての日本医師会員に会員の証明として保有してもらう方針を機関決定したことを報告。今年度より、発行時・更新時の費用を無料とし、新たに医師免許を取得した医師には、非会員でも無料で提供していることを明らかにした。
 更に同常任理事は、人生100年時代における今後の医療では予防が重要となるが、かかりつけ医が一緒に関わることで、予防の有効性と安全性は大幅に向上すると説明。予防に貢献するITシステムとして、①一次予防 本人の情報把握に基づく健康管理のためのPHR②二次予防 地域医療連携ネットワークであるEHR③三次予防 地域包括ケアシステムのための医療介護多職種連携ネットワーク―の3点を挙げるとともに、「今後はこれらを相互連携する必要があり、かかりつけ医による中継が要となる」と述べた。
 また、PHRとEHRの情報を繋(つな)ぐためには、病院や診療所の電子カルテが必要であり、医療機関等における情報共有・連携においては、相互運用性の確保が非常に重要な課題になると指摘。その解決のためにも、情報交換のための標準規格を整備し、メーカーに確実に実装させるだけでなく、電子カルテの規格そのものの統一化に向けた検討も行うべきであるとした。
 その他、同常任理事は、「IT化に対応できない国民・患者や医療従事者が取り残され、不利益を被るようなことがあってはならない」と強調。
 国に対して、IT化に対応できない人達へ十分な配慮をし、アナログ的な方法の提供や、ITを簡単に使用できる技術的な対応、国民全体のITリテラシー向上の取り組み等、きめ細やかな対応を求めた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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