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令和3年(2021年)7月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「経済財政運営と改革の基本方針2021」等の閣議決定を受けて

日医定例記者会見 6月23・30日

 中川俊男会長は、6月18日に経済財政諮問会議が取りまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2021」、いわゆる「骨太の方針」に明記された六つの事項に対する日本医師会の見解を説明した。

(1)新型コロナウイルス感染症への対応

 新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)患者を受け入れる医療機関に対する支援については、診療報酬のみならず、補助金も活用した減収分の速やかな補填(ほてん)がぜひとも必要とした上で、「一般の患者の受け皿があるからこそ、新型コロナの重点医療機関等を拡充できる。後方支援医療機関を含め、地域を面として支えている医療機関への支援も不可欠であり、支援対象はできるだけ広く捉えてもらいたい」と要望した。
 また、公立・公的、民間病院の病床を都道府県の要請に基づいて活用できる仕組みを構築するとしていることについては、「公・民の対立の構図とならないよう配慮し、公か民かにかかわらず、地域の実情に応じて行うことが重要」と指摘した。
 これに関連して中川会長は、本年2月3日に成立した感染症法改正法によって、従来の都道府県知事による病床の確保等を要請する仕組みに加えて、医療機関が正当な理由なく拒否した場合には勧告、更には医療機関名を公表する制度が導入されたことに触れ、「骨太の方針」に記載のとおり、まずは事前調整した上で、法律に基づく協力要請を行うことが大前提と強調した。

(2)「重要業種」として「医療」が追加されたこと

 「経済安全保障の確保等」の中で「重要業種」として、電力、ガス、石油、通信、航空、鉄道、海上物流と並び、今回新たに「医療」が位置付けられたことについては「これを高く評価する」とするとともに、「日本医師会としても必要な協力をしていきたい」と述べた。

(3)医療費適正化計画

 第4期医療費適正化計画が3年後の2024年度からスタートする予定であることを受け、「骨太の方針」で必要な法制上の措置を講じるとされたことに関しては、「現在、都道府県や医療関係者は、新型コロナ対応に心血を注いでいる状態にあり、第4期の計画を策定するに当たっては、新型コロナへ対応する中で判明した実態や得られた知見を十分に踏まえつつ、しっかり議論を尽くすべき」との考えを示した。

(4)医療資源の集約化

 病院機能の連携強化・集約化に向けて、地域医療連携推進法人制度の活用が提案されていることについては、国や都道府県主導のM&Aの推進、更には病院経営への株式会社の参入につながることへの懸念を表明した上で、「今後、日本医師会からもあるべき姿を発信しつつ、動向を注視していく」とした。

(5)包括払い

 包括払いの導入に関しては、「日本の急性期入院医療における、いわゆるDPC制度は20年以上にわたり制度の精緻(せいち)化が行われており、世界でも類を見ない制度となっている。今後、丁寧で慎重な議論を行っていく必要がある」と指摘した。

(6)かかりつけ医機能の強化・普及

 「かかりつけ医」については「患者が選ぶものであり、その際には、国民皆保険の柱であるフリーアクセスを担保する必要がある」との考えを示すとともに、日本医師会は「かかりつけ医機能研修制度」を創設し、地域住民から信頼される「かかりつけ医」の養成並びに普及に努めてきたことを説明。
 今後は、医療費抑制のためにフリーアクセスを制限するような仕組みを制度化するのではなく、「骨太の方針」にも記載されているとおり、上手な医療のかかり方を啓発し、かかりつけ医を普及していくことが重要であるとした。
 最後に、中川会長は今年度の「骨太の方針」において、基礎的財政収支の2025年度の黒字化、債務残高対GDP比の安定的な引き下げといった財政健全化目標の記載が復活した一方で、「本年度内に新型コロナが経済財政へどのような影響を及ぼしたのかという検証を行った上で、目標年度を再確認する」と記載されたことに言及。「新型コロナは全国の医療機関の経営を脅かし、国民生活にも深刻な打撃を与えている。政府には、現状をしっかり検証した上で、必要な支援は躊躇(ちゅうちょ)なく行ってもらいたい」と要望した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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