閉じる

令和3年(2021年)9月20日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の現況について

日本医師会定例記者会見 8月25日・9月1日

新型コロナウイルス感染症の現況について

新型コロナウイルス感染症の現況について

 中川俊男会長は、新型コロナウイルス感染症の現況について、日本医師会の見解も交えながら説明した。

長期戦を覚悟すべき

 最近の感染状況については、東京都を例に新規感染者数だけを見ると減少傾向にあるが、重症者数は第3波や第4波の時の最大数と比べると高い水準にあると指摘。「夏休みも終わり、通常の生活に戻ってきたので、今後、新規感染者数が再び拡大に転じる恐れもあり、注意していきたい」と述べた。
 また、現在発令中の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置については、その期限とされている9月12日までに感染状況や医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が一気に改善するとは考えにくいとして、引き続き長期戦を覚悟しなければならないとの考えを示した。
 自宅療養、入院待機患者の急増への対応に関しては、日本医師会として全国の会員の先生方に、更なる入院受け入れの検討や、自宅療養、宿泊療養の患者さんの健康観察、電話等による診療や往診を行ってもらえるよう、書簡にて強く依頼したことを改めて説明。会員の先生方からは、「新たに関わりたい」「これまでも対応してきたが、更に担いたい」といった決意が寄せられていることを明らかとした。
 また、日本経済団体連合会(以下、経団連)に協力を依頼している自宅療養者への対応については、今週から経団連の加盟企業より貸与の申し出があった所有施設について、当該都道府県医師会で検討してもらっていることを報告するとともに、「本来、入院が必要であるにもかかわらず入院調整中の方、自宅療養を余儀なくされる方を少しでも減少させなければならない」として、自治体、地域医師会との検討の下で有効活用されるように日本医師会としても支援していくとした。
 加えて、8月25日には、東京都医師会の猪口正孝副会長、神奈川県の医療危機対策担当理事で医療危機対策統括官でもある阿南英明氏の参加を得て、病院団体との「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」を開催し、特に入院待機患者への対応について課題や問題点などを共有したことも紹介した。

十分な量のロナプリーブの確保を

 中和抗体薬「ロナプリーブ」については、8月25日付けの厚生労働省の事務連絡により、一定の条件を満たせば、臨時の医療施設に位置付けていない施設や医療機関の外来でのロナプリーブの投与が可能となる一方で、国と企業との契約において供給されている流通量が限られているとして、政府に対して、引き続き十分な量の確保を求めた。
 加えて、ロナプリーブについて、点滴よりも使いやすい注射で皮下投与できるようにしてはどうかという意見があることに関しては、①十分な臨床評価がなされないまま使用することについては、患者の安全確保の面で不安がある②皮下投与では注射針を4カ所刺すことになるが、患者にとっては静脈投与も皮下投与も等しく侵襲性があり、投与後の経過観察は同じように必要となる③「ロナプリーブ」承認後に公開された審議資料によると、皮下投与に関しては、日本人の健康成人6名への投与データのみであり、実際に患者に使用した臨床試験のデータが示されていない―を挙げ、国内の製造販売元である中外製薬に対して、「皮下投与についてのエビデンスを積み上げ、申請の検討をしていくとのことであるが、厚労省の指導の下、適正な対応をお願いしたい」とした。

接種に携わった全ての方に感謝

 ワクチン接種に関しては、特に、4月以降の高齢者等への優先接種、一般の接種に向けて、地域によっては、自治体から集団接種会場での「打ち手」不足の声もあったが、医師、看護師が対応しきれない地域では、歯科医師が7月末までに72万回分の接種を担当するなど、歯科医師会、歯科医師の全面的な協力を得て、接種が一気に軌道に乗ったと説明。薬剤師、救急救命士や臨床検査技師の方々も含め、個別接種、集団接種に携わった全ての方に改めて感謝の意を示した。
 デルタ株の感染拡大に伴い、免疫を高めるための3回目のワクチン接種(いわゆるブースター接種)については、3回目接種のための薬事申請が必要となることから、薬事食品衛生審議会医薬品第二部会における厳正な審議に期待感を示すとともに、「接種を希望する全ての人に2回の接種が終了すれば、当然、国民からの3回目接種の要望にも応えていく必要がある」として、国に対して、十分な量のワクチンの供給を求めた。
 更に、1回目と2回目で異なる種類のワクチンを打つ交差接種については、理論的にもあり得る手段であるとする一方で、「安全かつ有効な接種間隔や接種量の検討についてはまだこれからという段階である」として、国に今後も新たな知見、臨床データ等の情報を丁寧に検討するよう求めた。

接種後にも基本的感染防止対策を

 国内でも報告されているワクチン接種後のブレイクスルー感染については、無症状でも、ワクチン未接種の感染者と同等のウイルスを排出するとされており、重症化はまれであるものの、発症せずに、無自覚のまま他の人にうつす可能性があることを説明。「デルタ株は極めて感染力が強く、従来株とは違う病気と捉えなければならず、ワクチンの2回接種が完了しているから、もう安心だとは言えない」とするとともに、「接種後も、うつらない、うつさないために、2メートル以上距離を取る、換気を頻繁にするなど基本的な感染防止対策を今まで以上に厳重に行うことが必要だ」と強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる