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令和3年(2021年)11月20日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の現況について

日本医師会定例記者会見 11月4日

新型コロナウイルス感染症の現況について

新型コロナウイルス感染症の現況について

 中川俊男会長は、新型コロナウイルス感染症の感染状況や今後の医療提供体制のあり方に対する日本医師会の見解を説明するとともに、次の波に備え、医療関係団体、全国知事会、日本経済団体連合会とも連携を深めていく意向を示した。
 中川会長は新型コロナウイルス感染症の感染状況について、新規感染者が確認されない地域もあり、全国的に低い水準が続いているとした上で、急激な感染減少の要因として、(1)感染対策の徹底、(2)急速なワクチン接種の推進、(3)更なる行動変容、(4)ウイルス自体の性質の変化―などが挙げられているが、各要因自体の寄与度は不明確であり、他の要因の影響も考えられると分析。「減少の要因が解明されれば、今後のコロナ対策の重要な鍵となる」と述べ、政府に検証結果の迅速な取りまとめを求めた。
 加えて、世界各国の一週間の新規感染者と死者数が2カ月間の減少傾向から、増加へ転じたとWHOが10月末に発表したことについて言及し、「ワクチン接種が先行していた国でも感染が再拡大している。日本でも一気に収束せず、今後増減を繰り返す可能性もあり、次の波をできるだけ低く抑えていかなければならない」とした。

インフルエンザワクチンの早期出荷と偏在防止を要請

 季節性インフルエンザについては、「社会活動が戻りつつある中で、集団生活の場、特に高齢者施設や学校などにウイルスが持ち込まれると集団感染を引き起こす可能性があり、新型コロナとインフルエンザの同時流行を抑えるためにも、引き続き、感染対策の徹底とワクチン接種を推進していく必要がある」と強調。国に対しても、接種が滞ることのないよう、できる限り早く出荷するとともに、偏在を来さないよう、要請しているとした。
 今後の医療提供体制については、11月末までに各都道府県が、「保健・医療提供体制確保計画」を策定することになっていることから、日本医師会からも都道府県医師会に対して、医療関係団体との連携強化、行政との協議をお願いしているとした他、計画の策定に当たっては、「コロナ医療とコロナ以外の通常医療との両立を最大限守るべきであり、通常医療の制限は最後の手段となるよう、各方面と調整している」と説明した。
 この件に関しては、10月27日に開催した「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」においても、日本医師会、全国自治体病院協議会、四病院団体協議会が一致して、厚生労働省に対し通常医療の制限を前提として体制づくりを進めることがないよう要請したことを明らかにした。
 また、コロナ医療と通常医療の両立には、発熱外来と診療体制の強化による早期発見・早期対応の徹底、回復患者の後方医療体制の確立が重要になるとし、「そういった意味においても、政府が10月1日に『病床・宿泊療養施設確保計画』を改め、陽性確認前から回復・療養解除後まで切れ目のない体制整備を図る『保健・医療提供体制確保計画』にバージョンアップしたことを評価したい」と述べた。
 更に、中川会長は、今月上旬に政府から「全体像」が示されるに当たって、都道府県医療計画上の6事業目の前倒し策定の意味合いを認識して欲しいとし、その意味は、第6波を想定し、重症者はどの医療機関の何床、中等症、軽症、無症状者はどこの医療機関や施設で担うかを再度調整・確認し、それに伴う医療従事者、医療機器や医療器材などの確保の再調整を示すことにあると説明した。

即応病床に戻すための迅速な情報提供を

 新規感染者数の急減に伴って、コロナ即応病床が徐々に解除されていることに対しては、再拡大が生じた際に、即応病床に迅速に戻せるような情報を各行政がタイムリーに提供することが重要になると指摘。例えば、都道府県がモニタリングしている、受入医療機関が決定していないコロナ患者数や搬送困難事案件数、新規感染者数の7日間移動平均などの指標を、都道府県医師会や関係医療機関とリアルタイムで情報共有するだけでなく、感染拡大や医療提供体制の変化の"兆し"の段階から速やかにアラートを出すことで、即応病床への転換を要請する可能性について、医療機関に迅速に伝えることを求めた。
 また、「そのためには、都道府県庁の医療統括責任者と都道府県医師会等の責任者が普段から密接に連携し、タッグを組むことが必要になる」と述べ、日頃からの関係構築の意義を強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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