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令和3年(2021年)12月20日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

診療報酬の改定に向けて

日本医師会定例記者会見 11月24日・12月1日

診療報酬の改定に向けて

診療報酬の改定に向けて

 中川俊男会長は11月24日に「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)」の結果が公表されたことを受けた当日に、そのポイントやこれからの診療報酬改定に向けた日本医師会の姿勢を説明した。
 中川会長は冒頭、これから本格化する診療報酬改定率の決定に向けた議論について、医療現場は新型コロナウイルス感染症への対応によって著しく疲弊しているとした上で、改めて「躊躇(ちゅうちょ)なく『プラス改定』とすべき」と主張。
 また、同調査について、改定率決定の参考とすることに財務省が疑義を呈していることに対し、「中医協において、長年にわたって改良を重ね、進化させてきた調査であり、その結果は尊重されるべき。むしろ、マイナス改定ありきで、この結果を軽視しようとするなど、あってはならない」と述べた。
 結果への受け止めについては、「診療報酬による特例的な対応がとられたものの、コロナ補助金を除いた損益差額率は大きく悪化している。重点医療機関には診療報酬面でも集中的な支援がなされたが、それでも補助金がなければ大幅な赤字、重点医療機関以外では補助金を含めても大幅な赤字という実態である」とした上で、今後、新型コロナウイルス感染症が収束していけば新型コロナ関連の補助金(以下、コロナ補助金)は当然無くなると考えられることから、「今、診療報酬できちんと手当しなければ、地域医療を立ち直らせることはできない」と強調した。
 引き続き、同調査結果を基に(1)損益差額率/直近2事業年(度)、(2)給与費伸び率/病院長、医師、(3)診療所の入院外1施設当たり日数―の三つの観点から説明を行った。
 (1)では、①新型コロナウイルス感染症に対応して、診療報酬による特例的な対応がとられたが、損益差額率(コロナ補助金を除く)は大きく悪化。コロナ補助金を含んだ場合でも、一般病院の損益差額率はほぼプラスマイナスゼロ、一般診療所では損益差額率が前々年度よりも縮小した②重点医療機関では、コロナ補助金を含んだ損益差額率は黒字であったものの、補助金がなければ大幅な赤字。重点医療機関以外ではコロナ補助金を含めても赤字であり、新型コロナ患者の受け入れの有無にかかわらず、経営状況は非常に厳しい③一般診療所では、発熱外来を実施したところで、コロナ補助金を含めてもなお損益差額率が大幅に低下。実施していないところでも、損益差額率が低下した―こと等を挙げ、医療機関の窮状を訴えた。
 (2)では、給与費面において、院長給与・医師給与が低下(病院長の給与はマイナス1%前後かそれ以下の低下)であったことなどを説明。
 また、(3)では、「受診回数は新型コロナウイルス感染症流行前の水準には戻っておらず、今後、新型コロナウイルス感染症の収束により診療報酬の特例及びコロナ補助金が打ち切られた場合、医業機関経営は極めて厳しいものになることが懸念される」と指摘。その他、入院外受診日数(1施設当たり日数)は耳鼻咽喉科、小児科で大幅に落ち込んでおり、新型コロナ感染症収束後の医療機関経営の回復が見通せる状況にはないと強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

プラス改定しかあり得ない―中医協で診療側―

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 医療経済実態調査の結果については、12月3日にWEB会議で開催された中医協総会(写真左)において、診療・支払両側からそれぞれ見解が表明された。
 診療側は、診療側委員全員の連名により、「第23回中医協医療経済実態調査(医療機関等調査)結果報告に対する見解」と題する資料を提出。新型コロナウイルス感染症の影響のため、診療報酬による特例的な対応があったにもかかわらず、コロナ補助金を除いた医療機関の損益差額率は大きく悪化しているとするとともに、「地域医療、医療従事者、国民の安全を守るには適切な財源が必要なため、今回の改定ではプラス改定しかあり得ない」と主張した。
 医科に関する説明を行った城守国斗常任理事は、診療報酬による特例があったものの、コロナ補助金を除く損益差額率は大きく悪化しているとした上で、コロナ補助金を含んだ損益差額率も、一般病院ではほぼプラスマイナスゼロ、一般診療所では前々年(度)よりも縮小していると指摘。一般病院(国公立を除く)、一般診療所(医療法人)とも、コロナ補助金がなければ約半数が赤字となり、一般病院では、コロナ補助金を含めても、赤字病院が4割超になっているとして、その窮状を訴えた。

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