令和4年(2022年)1月5日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
令和4年度の予算編成について(各論)―TKC医業経営指標に基づく経営動態分析―
松本吉郎常任理事
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日本医師会定例記者会見 令和3年12月15・22日
松本吉郎常任理事は、TKC全国会から「TKC医業経営指標」の提供を受け、医療機関の経営分析を行った結果として、2019~2020年度にかけての民間医療機関の経営状況は、病院及び診療所全体で医業収益が減少し、法人の医業利益率は大幅に低下したことなどを報告した。
同常任理事は、まず、税理士・公認会計士のネットワークであるTKC全国会の医業経営指標について、民間の病院・診療所のデータであり、中医協の医療経済実態調査(以下、実調)と比較すると診療所の客体数が非常に多く、一般病院は中小規模が中心である一方、診療所は法人の比率が高いことから、実調に比べて収入規模の平均値が高めとなる特徴があることなどを紹介。
その上で、分析結果について、以下のとおり説明した。
2019年度と2020年度の金額を比較した結果、医業収益の前年比は、病院全体0・6%減、診療所全体2・5%減と、共にマイナスとなり、自由診療なども含んだ医業収益の前年比よりも、保険診療収益の前年比の方がマイナスが大きくなっている。
法人の一般病院では、補助金を除く医業利益率が前年度に比べて大幅に低下し、補助金を含む経常利益率も低下している。特に、内科系、外科系の病院において、医業利益率の落ち込みが大きい。
診療所では、有床診療所、無床診療所共に、医業収益が低下している。とりわけ無床診療所の小児科と耳鼻咽喉科は医業収益の落ち込みが激しく、法人の医業利益率、経常利益率ともに赤字となっている。
法人の一般病院、精神科病院、有床診療所、無床診療所のいずれも、損益分岐点比率は95%を超える危険水域に達し、極めて脆弱(ぜいじゃく)な体質となっている。
法人の役員報酬は、病院、診療所共に前年度より低下した。
適切な財源の手当てが必要
これらを踏まえ同常任理事は、「今後、新型コロナ対応の補助金が縮小された際には、経営が困難になることが懸念される状況にあり、適切な財源の手当てが必要である」と強調し、令和4年度の予算編成における配慮を求めた。
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日本医師会 医業経営支援課 TEL:03-3946-2121(代)