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令和4年(2022年)2月5日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症等の現況について

日本医師会定例記者会見 1月19日

新型コロナウイルス感染症等の現況について

新型コロナウイルス感染症等の現況について

 中川俊男会長は、新型コロナウイルス感染症とオンライン診療の2点に対する日本医師会の見解を説明した。

国内の感染状況

 中川会長は、1月19日に政府が16都県を対象として「まん延防止等重点措置」の適用を決めたこと及び、岸田文雄内閣総理大臣の1月17日の施政方針演説に言及。岸田総理が「専門家の意見を伺いながら、過度に恐れることなく、最新の知見に基づく対応を、冷静に進める覚悟」であるとし、「一度決めた方針でも、より良い方法があるのであれば、躊躇(ちゅうちょ)なく改め、柔軟に対応を進化させていく」と表明したことは、刻々と変異する新型コロナウイルスに対して、ベストの方針であるとして、全面的に支持する考えを示した。
 また、(1)医療従事者が濃厚接触者となった場合の対応を1月12日に改めて周知した、(2)エッセンシャルワーカーについては、濃厚接触者の待機期間を14日間から10日間に短縮し、検査で陰性だった場合は最短6日で待機を解除できる旨の事務連絡を1月14日付けで発出した―ことにも触れ、「岸田総理の迅速で柔軟な対応を評価したい」と述べた。

ワクチン接種

 ワクチン接種については、岸田総理が施政方針演説で、「医療関係者、高齢者3100万人を対象とする3回目接種の前倒しについて、ペースアップさせる」「これまでワクチンの接種対象ではなかった12歳未満の子どもについても、希望者ができるだけ早くワクチン接種を受けられるよう、手続きを進める」と表明していることに関して、ワクチン接種をより円滑に行ってもらうことができるとして、期待感を表明。その一方で、3回目の追加接種は必ずしもスムーズに進んでいないことに懸念を示すとともに、その要因の一つに、確保されているモデルナ社製のワクチンに対する認識が不十分であることを挙げ、日本医師会としても、モデルナ社製ワクチンの安全性や、交互接種の有効性と安全性について、広報していく考えを示した。
 小児へのワクチン接種に関しては、これまで対象になっていなかった11歳以下、特に重症化リスクがある基礎疾患を有する子ども達に対しても接種を進めていく必要があると指摘。「全国の医師会、医療機関では、希望されるお子さんが速やかに接種できるように準備を進めている。国にはどのような副反応が見られるかなど、お子さんが接種を受けるかどうかを判断するための正確な情報を、保護者の方に分かりやすく伝えて欲しい」と述べた。
 また、医療従事者や高齢者などへの追加接種の前倒しが進められている中で、現在、エッセンシャルワーカーへの優先接種の明確な規定がないことに言及。特に、エッセンシャルワーカーである保育士や教員等に感染が広がることにより、「お子さんを預かる保育所等・放課後児童クラブや学校が休止することになる。その結果、保護者であるエッセンシャルワーカーが業務に従事できず、社会機能の停滞につながる」と懸念を示し、「地域の実情に応じて自治体でもワクチン接種の優先枠を設けて欲しい」とした。
 更に、「ワクチン・検査パッケージ」については、これまでの運用はデルタ株を想定していたものであり、オミクロン株の知見に合わせた見直しをしていくべきとするとともに、その見直しの例として、ワクチン部分の「2回接種」を「3回接種」に見直すことを提案した。

オミクロン株の感染力

 オミクロン株の感染状況については、(1)リスクの少ない若年層にはインフルエンザに近いものと考えられるが、インフルエンザと同様に高熱などのつらい症状がある、(2)軽症が多いという報告があるものの、現時点で高齢者の感染者数が少ないため、高齢者の重症化リスクを判断するべきではない、(3)諸外国のデータでは重症化リスクがデルタ株の2分の1から3分の1だと報告されているが、新型コロナ全体の重症化リスクがインフルエンザより二桁高いということを考えれば、危険な感染症であることに変わりはない―との日本医師会の考えを説明。現状については、高齢者や基礎疾患のある人などリスクの高いグループに配慮しつつ、経済の再活性化と感染拡大防止の両立を本格的に目指す段階に入ったとの認識を示した。
 その上で中川会長は、オミクロン株の感染力の強さから、医療従事者にも感染が広がり、それによって医療の提供を制限せざるを得ないといった状況も生じているとし、「日本医師会は、今後発生する多数の軽症者に対する医療提供体制を整備するなど、これからも新型コロナウイルス感染症の収束を目指して粘り強く邁進(まいしん)していく」と述べた。

オンライン診療

 オンライン診療については、「解決困難な要因によって、医療機関へのアクセスが制限されているような場合に、適切にオンライン診療で補完するものであるべき」との日本医師会の考えを改めて説明。今後は例えば離島・へき地などで高齢者の医療へのアクセスが制限されないよう、かかりつけ医がよりきめ細かいフォローをするために対面診療の補完として、オンライン診療を活用できるといったような高齢者にも優しいデジタル技術で支援が行われることに期待感を示した。
 その一方で、中川会長は、「私達は医師として患者の安全を守る責務があり、対面診療で十分な信頼関係を築き、また対面診療における十分な情報を基礎として、医療の質を担保していかなければならない。患者の利便性を考慮しつつも、万が一にも患者を危険にさらすようなことはできない」と強調。1月18日に、医師としての責務、医療の安全性などを中心に、オンライン診療のあり方について議論した都道府県医師会長会議(1、2面参照)での意見なども踏まえながら、具体的なことについては今後の中医協の中で主張していく考えを示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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